米ヘッジファンド所属の現役オプショントレーダーが、「オプションとは」に始まる基礎理論から、プロトレーダーの視点、そしてVIX先物までを解説する『実務家のためのオプション取引入門』。この連載では本書に収められている14のコラムから5つを紹介する。連載3回目の今日のテーマは、「ならず者のオプション取引」だ。

大きなリスクを未承認で取るローグトレーダー

 皆さんはローグトレーダー(Rogue Trader)という言葉をきいたことがあるでしょうか。
 直訳すると「ならず者トレーダー」となります。通常、投資銀行やヘッジファンドのトレーダーは、とっているポジションを日々リスクマネジメント部門に報告することが義務づけられています。会社全体の取っているリスクが許容量を超えないように監視するためです。

 ところが中には、損失が増え始めると、短期間にそれを取り戻そうとして、会社に未承認で大きなリスクをとるトレーダーがいます。このようなトレーダーを総称してローグトレーダーと言います。
 最近では、2008年に発覚したソシエテジェネラルのジェローム・ケルビエル(Jerome Kerviel)や2011年のUBSのクウェク・アドボリ(Kweku Adoboli)が有名です。