日本の総人口は2005年から減少に転じた。人口減少という環境下で現物不動産投資をいかに行うか、エリアマーケティングの視点を提供する。

物件が置かれたエリア全体の中で位置づける

 2005年は、出生率が、想定される出生中位(死亡中位)で推移しているとした場合(国立社会保障・人口問題研究所が日本の将来人口について描いた9シナリオのうちの一つ)、人口が減少し始める、始まりの年でした。日本の人口は、まさにどんどん減少を始めているのです。
 当然ながら、このことは賃貸物件の空室率と密接な関係があります。そこで、この日本の人口について、少し見ていきたいと思います。

 不動産投資をするにあたっては、確かに投資の収益率などを計算することは大切ですが、仮に満室時の高い想定利回りが計算上出ても、将来的に賃料が下落したり、空室が出たりするエリアであれば、計算の前提が崩れてしまう場合があります。
 物件固有の設備などは後から手を入れることによって変えることが可能ですが、物件は動かすことができない環境の中に置かれているわけですから、物件が置かれたエリア全体の中で、その物件を位置づけていく視点が大切だと思います。

 ただし、日本全体の人口が減少するからといって、日本全土にわたって人口が均一的に減少していくわけではありません。人口が増えるエリアもあれば、減るエリアもあるわけで、全体の流れは理解しつつ、自分が投資しようとしている個別の物件を取り巻く環境を見ていく必要があります。