日本では、もはや日常の買い物の場所としておなじみの100円ショップ。実は今、中国でも100円ショップとよく似た業態の店舗が続々と登場しているのをご存じだろうか。その1つが、中国国内で285店舗(2013年2月27日現在)を展開中の「一伍一拾」だ。今回は、前編・後編の2回にわたって弊社中国メルマガでもコラムを執筆していただいている(中国版100円ショップ)一伍一拾チェーンを運営する上海智造空間家居用品有限公司の総経理特別アシスタント・富井伸行氏に、「一伍一拾」が抱える中国企業ならではの“問題点”について聞いた。

4年前にスタートした「一伍一拾」
現在は285店舗にまで拡大

――まず、中国版100円ショップ「一伍一拾」事業がスタートしたいきさつを教えてください。

中国版100円ショップ「一伍一拾」が<br />285店舗に急成長したその“裏側”とは<br />――富井伸行・上海智造空間家居用品有限公司 総経理特別助理(前編)とみい・のぶゆき
上海智造空間家居用品有限公司 総経理特別助理。ニトリで17年間修行を積み(海外品質部長、海外物流部長、海外商品部長)を経て、現在は一伍一拾総経理特別アシスタント。NEWモデル店舗のブランディング&作業標準実行責任者。

 弊社の前身は、日本の100円ショップ向けに雑貨を輸出している会社でした。その後、中国国内での小売販売もスタートし、4年前から智造空間家居用品有限公司として「一伍一拾」ブランドで全国に出店しています。現在は、海南省を除く中国各省・直轄市で285店舗(2013年2月27日現在)を展開中です。

 日本では「100円」という単一の均一価格で生活雑貨を販売する業態が定着していますが、我々は5元、10元、15元などのいくつかの価格で販売しています。

――店舗は全て直営ですか?

 弊社は直営、店中店、そしてFC(フランチャイズ)と、3つの販売形態があります。商品の品揃えを自由に決めることができ、自社レジで販売する「直営」、店員の雇用・管理や商品の供給は自社で行うものの、スーパー等出店先のレジを使って販売する「店中店」、そして最近スタートしたばかりのFCです。現在直営80店、店中店200店、FC5店となっています。今年中に利益の出る標準化された仕組みを整え、出店を拡大していく予定です。

 店中店は、出店先のスーパー側の意向で一部の商品(飲食品、化粧品など)が販売できない等の制約を受ける場合があります。弊社が最も利益を稼げるのは、品揃えの自由度が高い直営での出店ですが、出店先の都合もあるので、いろいろ条件考慮に入れながら、出店方式を決めています。

285店舗もありながら
今まで「標準化」されていなかった!

――一伍一拾では、富井さんのような日本人経験者の登用を積極的に行っているようですね?

 それは、一伍一拾の現時点における経営上の最重要課題が「効率化」であり、やはり日本人の経験が必要だからです。