アベノミクス効果で地価も上昇に転じたと言われる今、これを利用して資産形成する戦略とは?不動産投資家は、まず、今後空き家が増加する一方であることを前提に考えなければならないとした上で、ヒントを提示する。

賃貸住宅市場の未来は暗い

 今回は「この後くるかもしれない地価上昇を利用して資産形成する戦略」について考えてみたいと思う。
 前提として考えなければならないのは、日本の人口は天井を打って歴史上初めて自然減少し、これから空き家は増加する一方であること、つまり今後地価上昇したとしてもそれは需要によって発生したものではないということだ(ただし、都市開発などによって一定の地域の需要が発生して一部地域で地価が上昇する場合は除く)。

 みずほコーポレート銀行産業調査部の「賃貸住宅市場の現状と展望」によれば、2030年の賃貸住宅市場の市場規模予測は以下の通りだ。

1. 我が国の賃貸住宅市場は、今後2030年に向けて大きく縮小することが予想される。2010年12.6兆円→2030年8.8兆円 ▲30%
2. 内訳で見ると、特にファミリー向け(40平方メートル以上)賃貸住宅市場の縮小が著しい。2010年8.8兆円→2030年5.6兆円 ▲37%
3. 非ファミリー向け(40平方メートル未満)においては、若年居住者が減少し、単身高齢者の居住者が増加する見込み

 このレポートによれば、賃貸住宅市場の未来は非常に暗いということだ。アベノミクスでバブル到来かと浮き足立っている向きはこの市場見通しについてよく考えてみてほしい。

 では、これらのデータを前提とした場合の投資戦略はどのようにすればいいのか?