会社を作って人を雇えば、給料というかたちでお金が関わってくる。そうなると、人と人の関係はどう変わるのか?『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』の著者・山口揚平さんの対談シリーズで、今回はゲストに『お金が教えてくれること ~マイクロ起業で自由に生きる~』の著者・家入一真さんを迎え、起業家同士の対談の中でその答が出てきました!

奇しくも2人とも、自分で興した会社の売却経験あり

家入一真(以下、家入) 著書を拝見しましたけど、面白いタイトルですね?

山口揚平(以下、山口) 実を言うと、いろいろなアイデアの中から『ピカソはなぜ小切手で支払ったのか?』という仮タイトルが浮かんで。「信用をお金に換える力って、これからの時代は特に大事になってくるよね」っていうのが僕の伝えたいメッセージだったからです。

 けれども、「なぜ?」の部分は別として、日本人にとって小切手に馴染みが薄いこともあり、ピカソが小切手を使ったという行為自体に読者は驚きを感じないだろう、と。あれこれ熟考を重ねるうちに、最終的に『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』というタイトルに決まったんです。

経営者と従業員の関係は「庇護」か「対等」か?<br />「お金による繋がり」へのスタンスはそれぞれ異なる家入一真(いえいり・かずま)プロフィル 1978年福岡県生まれ。起業家・投資家・クリエーター。高校中退、ひきこもりから、22歳でpeperboy&co.の前身となるマダメ企画を起業。レンタルサーバー「ロリポップ!」のサービスを成功させ、29歳で史上最年少ジャスダック上場を果たした。1年後に社長退任。株売却で得た十数億円は、新事業やプロジェクトに投資し2年で使い果たした。現在は、ものづくり集団Livertyなど複数の企業・事業を束ねている。

家入 僕も2月に3冊目の著書『お金が教えてくれること ~マイクロ起業で自由に生きる~』を出したんですけど、正直、読者がどんなタイトルの本を求めているのかがピンとこなったんです。それで編集者にいくつかアイデアを出してもらった中から選んだのがこれでした。

 ただし、読者に「お金を稼ぐ方法」を書いた本と勘違いされたら困るので、ちゃんと表紙に「この本を読んでも、お金は貯まりません(笑)」と入れてもらいました。これは、入れてよかったですね。

山口 本の冒頭に「そもそも僕はお金がありません」って書いていますけど、実際のところはどうなんでしょうか?

家入 いやいや、本当にそうなんです(笑)。料金の未払いでガスを止められたりしてますし。「そうは言っても、土地や家を持っているでしょ?」とよく言われるんですけど、すべて会社の資本金に充てて消えてしまいましたから。今は飲食店を経営しているので、その売上げが日銭でチャリチャリ入ってきてどうにか生きているって感じですね。