14日に安倍政権の“成長戦略”が閣議決定されます。株価の動きを見ても分かるように、最大の問題点は“成長戦略”に改革的な政策が少なく、将来の成長の道筋をイメージできないという点に集約されます。一言で言えば、今回の“成長戦略”は志が低く野心的ではないのです。それを象徴するのが、移民政策ではないでしょうか。

成長戦略での「高度外国人材対策」

 たくさんの海外の優秀な人材が日本に定住して仕事をするようになることは、人口減少、高度人材の不足、起業の少なさなど日本経済が直面する様々な問題の解決のために必要なはずです。

 しかし、海外からの移民への拒否感が強い国民性を慮って参院選への悪影響を考慮したのか、“成長戦略”では、高度な技能を持つ外国人の受け入れについては、「高度な技術や経営ノウハウを持つ海外からの人材の日本での活躍を促進するための総合的な環境整備推進の一環として、高度外国人材ポイント制度を見直す」という短い一文しかありません。

 この制度は、高度な技能を持つ外国人を3分野(学術研究活動、高度専門・技術活動、経営・管理活動)に分け、学歴、職歴、年収、研究実績といった項目ごとにポイントを付与して評価し、70点以上の外国人には在留期間の長期化などの優遇措置を付与するものです。つまり、政府のスタンスは「日本で働きたい外国人で優秀なヤツは少し優遇してやるぜ」という非常に上から目線なものになっています。

 かつ、“成長戦略”ではこの優遇措置の見直しをするだけですので、政府として戦略的に、日本で働く高度な技能を持った外国人を増やしていこうとも考えていないことが分かります。