家庭用ゲーム機が低迷する中、ソフト大手のバンダイナムコホールディングスが売上高、営業利益で過去最高を達成したのはなぜか。

バンダイナムコホールディングス社長 石川祝男 <br />3カ年計画を初年度に達成 <br />今年度は研究開発など足固めへPhoto by Toshiaki Usami

──2005年にバンダイとナムコが統合して7年間かかって、やっと売上高と営業利益がその水準を超え、過去最高となりました。

 ガンダムなどのIP(キャラクターなどの知的財産権)を軸に、トイやゲームなどの事業が食らいついてそのIPの収益を最大化するという、「IP軸経営」が機能するようになってきました。

 デジタルコンテンツでは、ソーシャルゲームが売上高の2割程度を占めているのも、「IP軸経営」の下で、現場がガンダムやワンピースなどの有力IPのソーシャルゲーム化を進めた結果です。

──ゲーム業界では任天堂が前期に営業赤字を計上するなど、家庭用ゲーム機が苦戦しています。

 アーケードゲーム(ゲームセンターなど)は、1980年代に家庭用ゲーム機が登場したときになくなるといわれましたが、そんなことはありません。

 コンテンツの供給メーカーとしては、ゲーム業界を楽観視しています。家庭用パッケージソフトはこれからも柱ですが、スマートフォンやソーシャルゲームなどが出てきたことは、われわれにとっては販売先が増えるということです。キャッチアップに遅れることはあるにせよ、チャンスに変えていかなければなりません。

──14年3月期は売上高4800億円、営業利益400億円と減収減益を計画している理由は?

 仕込みのための投資の時期と位置づけています。当社では15年3月期に売上高4800億円、営業利益480億円という中期経営目標を掲げてきましたが、それを初年度の13年3月期に達成しました。今年度は将来の成長に向けて、研究開発と新しいIPの開発などに30億円程度、投資します。

 7月からシンガポールとカナダに研究開発拠点を作ります。スマホ向けのアプリやソーシャルゲームなど、ワールドワイドに通用するゲームの開発を行います。