今日日、世界の優秀な学生は、外資系の投資銀行やコンサルティングファームを目指す。ほとんどの日本企業は、見向きもされない。逆に、日本企業が採用しようとしている日本人学生のほとんどは、海外からはバリューを感じてもらえない。その遠因は、世界標準から外れて“ガラパゴス化”した、日本独特の採用・インターンシステムにある。

優秀な学生はみな外資系を選び、日本企業は見向きもされない

「学生のトップ(最優秀層)1%は、外資系投資銀行、大手外資系コンサルティングファームに早期内定するので、その層の就職活動が終わったころにリクルーティングに来るといい」。

 弊社は、日本企業が海外数十ヵ国から優秀な学生を確保するための採用支援事業を展開しています。創業まもない5年前、当事業を始めるために、香港大学、ソウル大学、国立台湾大学で日本企業への採用説明会を開催できないか、3大学に挨拶に伺った際、どこの大学でも言われたのが冒頭の言葉です。

 衝撃を受けました。日本企業の出遅れ感を、目の当たりにしたからです。

 どこの国でも、最優秀層の学生の就職先として名前が挙がるのは、先に挙げた外資系投資銀行、大手外資コンサルティングファームのほか、急成長中のIT企業、一部の世界的有力企業と、決まっています。そうした企業は、世界中から最優秀のトップ1%にあたる人材を獲得する採用戦略、ブランド力を持っており、世界的な人材争奪戦はすでにして熾烈でした。日本企業がこのまま乗り遅れていていいのだろうか、という思いを抑えきれませんでした。

 日本人学生も例外ではなく、優秀なトップ層はもれなく上記のような就職先を選びます。国内文系の雄である東京大学法学部の学生も、トップ層はみな外資系を目指し、昔のように大蔵省(現在の財務省)をはじめとする中央官庁を志す人はごく少数なのが現状です。

 また、官庁や大手企業でグローバル人材を育成しようとMBA取得などのため海外留学させた幹部候補生も、結局は帰国後に、上記のような外資系企業へ転出してしまいます。私のソニー時代の同期でも、海外留学した5人全員が、留学後に辞めてしまいました。つまり、日本の中央官庁や大手企業であっても、優秀な学生からは見向きもされなくなっているのです。