競争が激化するDgS業界では、各社とも常連客をつかむために、さまざまな工夫を行っている。その軸となるのは、業態特性を生かした「相談機能」となるが、各社とも差別化にはなかなか決定打を見いだすことができていないようだ。会員カードでデータベースを作成したものの、その活用法が見いだせずに、単なるDM送付リストに終わってしまっている店舗も少なくないのではないだろうか。そんななか、徐々に広まりを見せている血圧計、骨密度計など、セルフ健康チェック機能を顧客サービスへ結びつけようとする試みが注目を集めている。

 株式会社ウエルアップ(神奈川県横浜市)は、旧来よりDgSやSM、フィットネスクラブなどに、来店客のセルフ健康チェックを可能にする健康診断システム「ウエルナビ」を販売してきたが、昨年4月より、同システムにカウンセリング機能を付加した「ウエルナビII」の提供を開始した。

 旧システムでは、来店客が自分で血圧や体脂肪を測定し、タッチパネル画面からその測定値や生活習慣などの質問に答えることで、アドバイスが印字されたシートがプリントアウトされるだけだったが、新システムでは測定結果に加え、日ごろの生活習慣(喫煙や飲酒、自覚愁訴など)や食習慣が記録されたカウンセリング用のシートを、店舗スタッフ側の操作で印字できるようになった。同システムにデータを継続的に記録すれば、印字されたシートで各種健康データの推移と生活習慣の変化を、ひと目で確認することができる。

 薬剤師や栄養士がこうした記録を用いることで、顧客にカスタマイズされた生活指導や健康指導が実現し、顧客の店舗ロイヤルティを高め、来店を促進することが可能になる。

 また同システムでは、モバイルサイト(携帯電話用ホームページ)を利用して管理サーバーと連動(オプション)することで、メールによる販促情報を配信したりすることもできるという。同社の木村孝一代表取締役は「ぜひ各店舗の薬剤師、栄養士の職能を顧客貢献に活用するために、このシステムを利用してもらいたい。そして生活者の健康意識を高めてもらいたい」と力をこめる。

 こうしたシステムの発展はDgSにとって、「カウンセリング力」という特性を生かす大きな道具となる。一方で道具はあくまで道具であり、システムを導入しただけで何かが大きく変わるものでもない。来店客に言葉を贈るのは、あくまでも薬剤師や栄養士、登録販売者だ。人を生かすことによって、こうした最新システムも生かせ、そして選ばれる店となっていくのだろう。

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2010年一発目は、店舗現場を支えるキーマンの特集です。チェーン小売業にとって成長の重要なカギを握るスーパーバイザー(SV)。人口減少によって市場縮小が現実のものとなった今後、顧客化を進める店舗の現場をサポートするスーパーバイザーと、彼らを支える企業の仕組みが市場での優劣を決めるといっても過言ではありません。成熟社会での店舗運営と商品展開のキーマン、スーパーバイザーにスポットを当てます。また、今回2月号と4月号の2号にわたって、全世界でヘルス&ビューティケアビジネスを展開する有力企業、英国DgSブーツのレポートをお届けします。直営と合弁で3000店舗、フランチャイズ展開を含めると全世界で6000店舗を展開するブーツ。日本から一度は撤退したこの企業が、再び日本へやってくる日が近づいています。ブーツの最新情報をお届けします。
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