2013年7月21日の参議院選挙が、次の日曜日に迫ってきた。今回は、生活保護をはじめとする社会保障に関して、各党の公約を比較してみたい。

選挙に際しての争点とはなりにくいと考えられている生活保護問題に目を凝らすことで、各党の本音が浮かび上がってくるはずだ。

“タテマエ”の選挙公約から
読み取れる数多くの情報

 公約やマニフェスト・遊説などの内容が「必ず実現される」と信じている選挙民は、それほど多くないだろう。それらの言葉は基本的に、選挙戦を勝ち抜くために語られるものであり、いわば「タテマエ」「よそ行き」の顔である。いったん選挙戦を勝ち抜いてしまったら、次の選挙までは、完全な実現を迫られることはまずない。選挙戦の後、各政党・各議員にとっての最優先課題が「選挙戦を勝ち抜く」ではなくなることを考えると、公約等が実現されないことは、むしろ自然なことであるとも言える。各政党・各候補者が当選後に何を考え、どういう活動をするかを知りたければ、公約等ではなく、議会での活動の状況や具体的な発言に注目する方が有用だろう。

 しかし公約等からは、数多くの情報を読み取ることができる。投票してもらうための「きれいごと」を主張するにあたって、想定されている読み手はどのような人々だろうか? 実現の可能性は、どの程度考えられているだろうか? 議席を獲得した場合、与党であれば、どのように方針を実現していく方針だろうか? 野党であれば、与党に対して説得力のある形で疑問を提出することができるだろうか? 与党であっても、異議や少数意見に耳を傾けずに「実行」することは、少なくとも立法府では許されてはならないと思う。野党であれば、実行する立場には立たないが、与党方針に対するチェック・必要であれば牽制などの「実行」を求めなくてはならないと思う。

 生活保護をはじめとする社会保障に関して、与党として、あるいは野党として、それぞれに求められる「実行」ができそうかどうか。今回は、公約等から、可能な限り、それらの情報を読み取ってみたい。

生活困窮者支援に対する
基本的な考え方を比較する

 まずは、各党の公約等から、生活困窮者支援に関する部分を抜粋し、「拡大路線」「維持路線」「縮小路線」の3通りに分類してみた。

●拡大路線

参院選直前、各党の選挙公約をどう読み解くか?<br />生活保護への立ち位置で分かる“政党の本音”共産党の「2013年参院選挙政策」。生活保護に関する記述は7000文字を超え、事実・事例に基づいた充実の内容だ。賛否いずれにしても一読の価値あり
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共産党

「6、生活保護・福祉
自公政権が推進する生活保護の大改悪を阻止し、貧困の打開、福祉の充実をはかります
安倍政権の生活保護改悪を許さず、必要な人すべてが受けられる生活保護へ」以下に、非常に具体的かつ詳細な記載がある。大きな特徴は、漏給問題の深刻さと、漏給対策の重要性を訴えていることだ。その他にも、事実に基づいた数々の問題提起がある。生活保護・貧困をめぐる現状を理解するために、一読する価値がある。