昨年末から、石川遼を追い続けている。

 アラフォーの元ジュニアゴルファーの筆者が、17歳の高校生を追いかけることになったのは、月刊誌『チョイス』(ゴルフダイジェスト社)の取材がきっかけだ。

 埼玉、茨城、東京と、彼の現れる場所には可能な限り駆けつけるようにした。そして、きのう(2月10日)も、栃木県・鬼怒川高原でのスキー合宿に、彼の姿を追いかけた。

 いつもは『チョイス』の取材だが、今回はABC(朝日放送)の単独インタビューのための冬山登山であった。

 「あはは。ぼく、嘘つけないタイプなんです。嘘つくとすぐに顔に出てしまうんで、だから演技なんて絶対に無理です」

 世の母親たちの多くは、「いつか、我が子を『遼くん』に」と夢見ている。その礼儀正しさ、他者への心遣いを忘れない話しぶり、爽やか笑顔、そして何より、天才的なゴルフっぷり――。

 石川遼は、間違いなく絵に描いたような素晴らしい青年である。だが、その一方で、あまりの優等生ぶりに、疑いを拭いきれない者がいるのも確かだ。

 そこで、雪山のロッジで、当人に尋ねてみた。その時の回答が、前出のコメントである。

 1年前まで単なるジュニアゴルファーだった彼は、いまや300ヤードのドライバーショットを放ち、賞金総額1億円を稼ぐ日本でもっとも注目されているアスリートのひとりだ。

 日本中のみならず、海外の試合でも、石川は他のどの選手よりも多くのギャラリーを引き連れて、フェアウェイを闊歩している。

 1月、タイ・バンコク郊外のパタヤ・スプリング・ゴルフクラブでもそうだった。欧州・アジア対抗戦の“ザ・ロイヤル・トロフィー”に出場しているその青年を追って、日本から多くのファンがタイにまで押し寄せたのだ。もちろん、筆者もタイに飛んだ。

 「遼くんの魅力は、他人への思いやり。とにかく他人への気の遣い方が高校生とは思えない。ハートが温かい」