最近の世論調査結果で特に興味深いのは、参院選で自民党に投票した人たちの反応だ。

 朝日新聞の調査では比例区で与党に投票した人で「自民党が評価された」とみる人はわずか27%に過ぎない。一方、「野党に魅力がなかった」という人が57%に達している。

 他の報道機関の同様の調査でもほぼ同じ結果が出ている。

 要するに、自民党が圧勝したのは「自民党がよいから」というより、「野党がダメだから」ということ。しかも、自民党に投票した人の大半もそう思っているのだ。

 このことは安倍晋三首相もある程度承知していることだろう。昨年末の衆院選では、勝因が野党の弱さにあることを明言していた。

 ただ、この半年間の成果を過大に評価すると今回の参院選で示された民意を見誤ることにもなりかねない。

 基本的には参院選の勝因は衆院選の勝因と大差はない。やはり、「自民党の強さ」より「野党の弱さ」によるものだ。それは前述の世論調査に端的に示されている。

8割以上の人が
「自民党に対抗できる勢力」を望む

 確かに、この半年間、安倍政権は経済などで成果を挙げ、それが参院選勝利の重要な一因となったことは否定しない。だが、有権者の民主党政権に対する怒りや不信感は、それが退場しても未だ収まらないのだ。

 前述の調査では、自民党に対抗できる政党が「必要だ」と思う人は83%。「必要ない」はわずかに8%。自民党に投票した人でも、「必要だ」が84%、「必要ない」は9%とほとんど違いはない。

 なんと8割の有権者が自民党に対抗できる政治勢力の出現をひたすら待望している。衆院選での審判と参院選のそれが変わらないのは、その後半年を経て野党に評価すべきところがほとんどなかったからだろう。