マネジメントとは何にもましてものの考え方であるダイヤモンド社刊
1890円

「マネジメントとは何か。諸々の手法と手品の詰め合わせか。それとも、ビジネススクールで教えるように、分析道具のセットか。もちろん、道具としてのマネジメントも重要である。体温計や解剖学が、医者にとって大切であるのと同じである。だが、マネジメントの歴史、すなわちその成功と失敗の数々は、マネジメントとは、何にもまして、ものの考え方であることを教えている」(『チェンジ・リーダーの条件』)

 それでは、マネジメントとは、いかなるものの考え方か。

 第1に、マネジメントとは、人の強みを発揮させ、弱みを無意味にすることである。つまりそれは、人にかかわることである。

 第2に、マネジメントとは、それぞれの国や土地の伝統、歴史、文化を仕事に組み込むことである。つまりそれは、人の関係にかかわることである。

 第3に、マネジメントとは、組織の目的、価値観、目標を明確にしてから、周知徹底し、常時確認することである。つまりそれは、組織の目的にかかわることである。

 第4に、マネジメントとは、組織の人間を成長させることである。つまりそれは、組織の人間の訓練と啓発にかかわることである。

 第5に、マネジメントとは、意思の疎通と個人の責任を確立することである。

 第6に、マネジメントとは、マーケティング、イノベーション、生産性、人材育成、人、もの、カネ、社会的責任など、成果の尺度を明らかにして、測定し、向上させることである。

 第7に、マネジメントとは、組織の外に成果をもたらすことである。優れた財・サービスの提供によって、世の中に貢献することである。

 ドラッカーは、マネジメントを志す者は、心理学、哲学、倫理学、経済学、歴史などを身につけよという。それらの知識によって、成果を出せという。病人の治療、学生の教育、橋の建設、ソフトの設計に使えという。

「マネジメントとは、仕事である。その成否は、結果で判定される。すなわち、それは技能である。しかし同時に、マネジメントとは、人に関わるものであり、価値観と成長に関わるものである。したがってそれは、まさに伝統的な意味における教養である」(『チェンジ・リーダーの条件』)