相続対策で住宅を購入するといっても、それぞれの家庭の家族構成や資産の額でベストな方法は異なる、ここでは三つの代表的なパターンを解説する。

住宅資金贈与はめいっぱい活用しよう。
同居前のマンション購入は将来の賃貸への転用も考える

一人っ子の二次相続の基礎控除額は3600万円。Aさんの場合はほぼ確実に数百万円の相続税がかかることに。

「現金の資産もあり、自宅の土地の評価額も高い場合は、住宅資金の贈与の特例をめいっぱい使って子に贈与し、なおかつ残りの額を親が出資してマンションを買うのがよいでしょう。贈与以外の出資分は親の持ち分にしておかないと、贈与とみなされ子が贈与税を払わないといけなくなるので、気をつけてください。

 法定相続人が少なく、現金の資産が多い方は、不動産に換えておいたほうが相続税対策として有効です。子がマンションを買うときは、将来、親と同居した場合に賃貸に出しやすい物件を選ぶのもポイントです」(青木寿幸公認会計士・税理士)

同居予定の子に生前贈与&住宅相続
させるなら遺言書は必須 

 親は将来、同居する予定のBさんの妹に住宅を相続させたいのだが、親だけの名義の住宅は“争続”の火種になることも。

「対策としては住宅資金の贈与の特例を使って、同居希望の子に二世帯住宅建設の資金をめいっぱい援助し、その子の住宅の共有名義の割合をできるだけ多くしておくことです。

 特例枠で足りないなら110万円以下の年間非課税の贈与枠を使う。あるいは2015年からは子や20歳以上の孫への贈与税率が一部緩和されますので、贈与税をきちんと支払ってでも生前に財産を移転しておく。

 兄妹で不公平感が出ないよう、Bきんにも親が住宅資金の贈与をするか、足りなければ住宅資金を貸すという方法もあります。こうしておけば、いぎ相続時に兄妹が争わずに済むのではないでしょうか。

 Bさんの親のように相続税がかかりそうな預貯金がある場合はなるべく生前贈与をし、財産分割の遺言書も書いておくのが賢いやり方でしょう」(同)