過去数十年、右肩上がりで成長を続けた建設機械業界。だが、2000年以降は、環境が変化した。100%外資のトップでありながら、業界団体の長を兼任している竹内紀行氏に問題意識を聞いた。

日本建設機械工業会会長 <br />キャタピラージャパン社長 竹内紀行 <br />建機のレンタルは時代の必然 <br />“新車販売、至上主義”は古いPhoto by Shingo Miyaji

──日本の建機業界は、市場規模1兆円といわれましたが、近年は「2兆円産業」として定着しつつあります。その転換点は、“いつごろ”だったと考えていますか。

 直近の需要予測は厳しい状況にあります。ですが、建機は、日本の機械産業の中でも、大きく成長した分野でしょう。過去の統計を見ますと、本体だけで2006年、部品まで含めると07年を転換点として“2兆円産業”といわれるレベルに達することができました。

 過去にずっと右肩上がりで成長できた背景には、中国などの新興国で需要が爆発したことがあります。その流れに、“日本の技術力”がうまく乗れたのでした。

──もともと、現行タイプの油圧ショベルは、日本の建機メーカーと油圧機器メーカーが“原型”を開発しました。なぜ、日本の油圧ショベルは、今も世界シェア70%を維持できるほど強いのですか。

 端的に言えば、日本製の建機が持つ(1)生産性(パワー)、(2)耐久性(頑丈さ)、(3)燃費のよさです。

 また、日本発の世界製品である油圧ショベルは、「掘る」「運ぶ」「つる」という細かい作業をするのに適しています。国内外で“建機の万能選手”といわれる複雑な機能を支えているのが、長年の経験に裏打ちされた“高度な油圧制御の技術”であり、日本が得意としてきた“擦り合わせの技術”です。

──しかし建機の世界は、主要顧客の構成比率が、日米欧などの先進国から、中国などの新興国に入れ替わるなど、大きな変化が起きています。また、国内では、レンタル会社が台頭しています。