2008、09年度と2期連続で1000億円を超える最終赤字に陥った新生銀行。その直後に社長に就任し、再建に奔走した当麻茂樹氏が描く銀行像とは。

新生銀行社長 当麻茂樹 <br />「銀行でございます」じゃ駄目 <br />特徴を出さねば生き残れないPhoto by Kazutoshi Sumitomo

──過去3年間に点数をつけるとしたら?

 まあまあ合格点ではある。うーん、甘く言って75点だな。「良」。

──「優」ではなかった、と。

 この3年間で、とっぴな冒険みたいなことをやるんじゃなく、健康なリスクテイクをするという文化はつくれたと思う。

 でも、「結局のところ新生銀行ってどんな銀行なんですか」ということの確立についていえば、まだとば口に立っただけ。メガバンクがあって、地方銀行なんか100行以上ある中でどうやって生きていくんですかといったら、やっぱり仕事のやり方にそれなりの特徴を出していかなきゃならない。

──特徴とは、例えば?

 わかりやすくいえば、お客さんがどれだけ喜んで感謝してくれるか、っていうものがメルクマールにならないと駄目なんです。おカネを貸して感謝されるのって、潤沢におカネがないような人ですよ。

 それから今、制度とかいろんなものを今日的に変えていかないと立ち行かなくなっている。そうだとすれば、それに呼応して必要とされる財やサービスを提供する人が出てくるんですよ。そういう人たちこそ、社会の発展のためにサポートしていかなきゃならん。

 日本の商業銀行はこういうことをあえてやってこなかった。規制産業で新規参入もない。放っといてもお客さんのほうから来てくれる。それに対してアンチの立場だということを示したい。

──リテールはどうでしょう。

 他行に先駆けてインターネットバンキングを積極展開したから、今も調査をすると、斬新で先進的だというイメージが出る。ただ実態はね、そういう成功にあぐらをかいちゃって停滞してるんですよ。そんな中でのほほんとしている。それじゃ全然駄目です。