テレビドラマでは、「上司から怒鳴られている部下」をよく目撃する。しかし、現実社会ではそんなに頻繁に見ることはないと思う。

 その背景には、「人は褒めたほうが育つ」という考え方が広まったことがあるのだろう。叱り方についても上手になって、ただ怒っているのでは意味がないという考えも広まった。

「褒められて伸びるタイプです」と真剣に宣言をする人がいる。冗談ではなく、心からそう主張するように。笑うべきなのか、素直に頷くべきなのか。問題は、そういう人は褒められても伸びない傾向にあることだ。

「叱らないでください」という臆病なメッセージなのだ。本来、褒められて、そのいいところを成長させようという気持が育ち、行動も変わってくるという話だが、褒められてなお萎縮していくところが成長を妨げるのではないか。

 残念なことに、そういう人は「美人のもと」が減っている傾向にある。「かわいい」とか「美しい」という言葉に対しても「褒められて伸びるタイプ」と宣言してしまう。「傷つけるようなことは言わないで」という萎縮した気持が出てしまっている。もともと「美人のもと」が増えるような場面を台無しにしてしまっているということだ。

 美人は褒められ方がうまい。相手の賞賛に対して素直で、自分の行動にポジティブに反映していく。そして、さらに褒められるといういいサイクルを持っている。

 褒められ方以上に差が出ると思えるのが、いじられ方だ。いじられるのがうまい。どんなに美しい人でも、隙はある。そういう隙をうまくいじられるのだ。相手が親しみをこめていじろうとしているのに対して、それを楽しんでしまう。だからこそ、皆に可愛がられ、話題の中心になりやすい。いじられることの本質が褒められることに近いことを知っているかのようだ。

 驚き方、ちょっと怒ったような反応、そしていじった相手と一緒に笑う時間。その表情の豊かさが「美人のもと」をつくっているようだ。

 一方、「褒められて伸びるタイプ」宣言している人はいじられることにも臆病で、反応も悪く、結局「美人のもと」を増やす機会が減っていってしまう。

 いじられ上手を研究してみよう。そこに「美人のもと」がある。