専門誌・業界紙を訪ねるこの連載、今回はモーターマガジン社の「カメラマン」編集部を訪ねた。

黄色いランボルギーニが創刊のきっかけ <br />読者の年齢上昇とデジタル化に合わせ<br />誌面を変更しイベントも重視坂本編集長は冬でもアロハシャツ。一年中アロハシャツを着ているという
Photo by Ryosuke Shimizu

 カメラマンの創刊の経緯は、いかにも“古き良き時代の出版社”を感じる。

 1970年代のスーパーカーブームは、少年達を虜にした。ランボルギーニやフェラーリといった高級なスポーツカーのプラモデルや消しゴムが大流行し、日本中で実写の展示イベントが開催された。

 池沢さとし氏の漫画「サーキットの狼」の影響も強いが、雑誌メディアの果たした役割も大きかった。

 カメラマンを発行するモーターマガジン社はその名の通り、自動車/バイク雑誌を主体とする出版社で、「当時のブームの火付け役だった」(坂本直樹・編集長)。

 同社ではスーパーカーに関連する雑誌やムックを発行、それら全てが売れに売れたという。

「あまりに売れすぎたせいで、税金対策のために、何か高いものを買った方がいいとアドバイスを受けた」。不況に喘ぐ昨今の出版業界ではありえない事態だ。

税金対策のランボルギーニが発端

 そこで、モーターマガジン社は、なんと、真っ黄色のランボルギーニを購入することに決めたのだ。

 バブル経済が崩壊する前、日本の出版社ではこの種のエピソードがいくつも聞かれた。経費でゾウ一頭を買った、海外取材でヘリコプターに乗って空撮した、などなど。

 多くの出版社の逸話が、壮大なムダを表すかのような笑い話なのに対して、モーターマガジン社の黄色いランボルギーニには思いがけない効能があった。