米国の長期金利に連動する形で欧州債の利回りも夏以降上昇傾向にあったが、ECB(欧州中央銀行)の利下げや、ユーロ圏のディスインフレ傾向などを反映し、最近では欧州債の利回りも落ち着いている。

 ドイツ10年債利回りは1.7~1.8%程度のレンジで推移している。足元ではユーロ圏の経済指標に弱めのものが多くなっており、ECBの低金利政策の長期化が意識されやすく、値上がりが期待できる欧州債投資の魅力はさらに高まりそうだ。ここ数年は、安全資産としての需要で「利回りが低過ぎた」ドイツ国債に代わり、ドイツ国債プラスアルファの利回りを得られ、ソブリンリスクの低いフランス国債やオランダ国債への投資がブームとなってきた。

 ここにきて、11月に大手格付け機関がフランス国債、オランダ国債を相次いで格下げした点が不安視される。とりわけ、フランスについては構造改革が難しい現状と、それに伴う低成長への懸念が示され、大手格付け機関のすべてから最上級格付けを剥奪された。

 しかし、フランス10年債とドイツ10年債の利回り差は安定推移し、むしろ緩やかな縮小傾向が続いている。その背景を探るべくDAX指数と仏独10年債利回り差との連動性を調べてみると、過去3カ月程度で高い相関関係が観測される。

 フランスも含めたユーロ圏の経済成長を考える上ではドイツ経済の状態が最も重要だ。高付加価値で強いブランド力を有するドイツの輸出産業は好調が続き、最近はそれが内需にも波及している。

 ドイツ経済が今後も成長を続け、他のユーロ圏諸国のドイツ向け輸出を喚起することで、ユーロ圏の景気がドイツの景気をキャッチアップするとの期待が大きい。ドイツ経済が強ければ、結果としてフランスを含むユーロ圏諸国のソブリンリスクが低減される。ただし、ドイツの主な輸出先である新興国の需要は当面弱含むとみられる。また、ドイツ企業といえどもさらにユーロ高が続けば輸出を伸ばすことが難しくなるだろう。