「責任感が強い」「人と争うことを嫌う」「頑張り屋」。これらはうつになりやすい人の特徴といわれる。だが、ほんとうにそうなのだろうか?最近は「えっ、あの人が?」と言いたくなるような性格の持ち主も、うつで休職するケースが少なくないようだ。

 じつはうつにもいくつかのタイプがあり、上司や同僚はこれを見極めたうえで付き合わないと、かえって事態を深刻化させかねない。なかなか復職がうまくいかず、結局退職してしまったり、あるいは何度も再発を繰り返すうちに、業務に支障が出て周囲までうつを発症したりする。

 では、具体的にどんなタイプがあるのだろうか?「『会社力』がうつから救う!」の著者で、MDA(うつ・気分障害協会)ジャパンの理事、山口律子氏に聞いた。

 「最近のうつには、おもに4つのタイプがあります。このうち2つは中高年に多く、残りの2つは若い世代に多い。それぞれ対応法がまったく違うので気をつけてください」

 見分けるコツは、学生時代によくいたあんなタイプ、こんなタイプを思い浮かべてみること。「ああ、あいつはあのタイプだ」「彼女みたいな人、うちのクラスにもいたな」といった具合に、あてはめてほしい。

中高年に多いうつのタイプ

■タイプその1:「正直一徹クン」

「うつになりにくいはずの人」のうつが急増している道徳心に富み、律儀で真面目な「正直一徹クン」。あなたのクラスにもきっといたことだろう。授業には真面目に出席し、語学の予習復習も欠かさない。頼まれれば、友達のために代返もしてやるし、ノートのコピーも取らせる。それどころか「はい、コピー。先輩にもらった過去問と模範解答もつけておいたよ」などと、頼まれていないことまで喜んでやる。コンパの後、散らかったテーブルの上をひっそりと片付けたり、へべれけになった友人の介抱をしたりしていたのは、このタイプだ。

このタイプが社会人になって、うつを発症すると・・・

「メランコリー親和型うつ」
仕事熱心な中高年に多い。つい仕事を引き受けすぎ、頑張った揚げ句、うつを発症してしまう。もともと几帳面で堅実に仕事をする人々なので、戦力としてはかなり大きい。周囲との調和を大切にするので、管理職としての適性もしっかり備えている。失うにはあまりに惜しい人材だ。

→脳の疲労が引き金となっていることが多いので、しっかり休養し、服薬による治療を続ければ、比較的短期間で仕事に復帰できる可能性が高い。周囲はひとりで頑張りすぎないよう見守り、仕事量をコントロールしてあげるとよい。