きのう(7月21日)、麻生太郎首相が衆議院を解散した。直前の両院議員懇談会では、党の結束をはかり、その後の代議士会でも、“宿敵”の中川秀直元幹事長と硬い握手を交わすといった「演出」を済ませてからの解散であった。

 解散直後の午後6時、4年前の小泉純一郎元首相の“伝説”の演説を意識したのだろうか、麻生首相は、赤いカーテンをバックにネクタイまで水色というまるで同じスタイルで解散会見に臨んだ。

解散の理由を伝えるどころか
党員への詫びと支持訴えに終始

 「麻生太郎です。私は、本日、衆議院を解散して、国民の皆様に信を問う決意をいたしました。日本を守り、国民の暮らしを守るのは、どちらの政党か、どの政党か、政治の責任を明らかにするためであります。

 私は、就任以来、景気を回復させ、国民生活を守ることを最優先に取り組んでまいりました。その間、私の不用意な発言のために、国民の皆様に不信を与え、政治に対する信頼を損なわせました。深く反省をいたしております。

 また、自民党内の結束の乱れについてであります。私が至らなかったため、国民の皆様に不信感を与えました。総裁として、心からおわびを申し上げるところです。

 謙虚に反省し、自由民主党に期待を寄せてくださる皆様の思いを大切にして、責任を全うしてまいります。今回の総選挙に際し、国民の皆様と3つの約束をさせていただきます」(首相官邸ホームページより)
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/07/21kaiken.html

 冒頭から謝罪をするという奇策を採ったものの、原稿に目を落としたままの棒読みに迫力は感じられなかった。

 しかも、その内容は、午前中の自民党の懇談会で話したものとほとんど同じで、さらに、国民に向かっての記者会見のはずであるにもかかわらず、自民党総裁として、党員への謝罪と支持訴えに終始している。

 これでは、いったい麻生首相が、国民に何を訴えたかったのか、なぜ解散をしたかったのか、さっぱりわからない。