国会で「会社法の一部を改正する法律案」が審議されている。結論から言えば、その中身は相変わらず中途半端なものになっている。なぜそうなったかと言えば、日本では、経団連を中心とした旧体制がコーポレートガバナンス、特に取締役会の改革に対する最大の抵抗勢力だからである。今回は、コーポレートガバナンスに関係する部分だけに絞って論点を整理してみたい。

 現在、国会では「会社法の一部を改正する法律案」が審議されている。会社法の改正については、連載第18回でも取り上げたところだが、今回は、コーポレートガバナンスに関係する部分だけに絞って論点を整理してみたい。

 結論から言えば、その中身は相変わらず中途半端なものになっている。その背景として、日本では、経団連を中心とした旧体制がコーポレートガバナンス、特に取締役会の改革に対する最大の抵抗勢力だということがある。彼らが、なぜそのような抵抗を試みるのか、そして、海外投資家が大きな比率を占めつつある東京市場で、それがいかに的外れなものかを理解しておくことは、なぜ日本が真の金融立国になれないのか、そして今後どうすべきかを考える時に避けては通れないポイントである。

社外取締役の強制は見送り

 今回の改正法案でも、上場企業に対する社外取締役選任義務は課されなかった。そのかわりに、「事業年度の末日において、監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る)であって、その発行する株式について有価証券報告書の提出義務を負う株式会社が社外取締役を置いていない場合、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない」とされた。

 昨年、会社法改正を議論した法制審議会では、激論の末、社外取締役の義務付けは見送り、その代わりに、「社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告書に記載する」との結論になっていた。この過程で、社外取締役設置の強制に反対の論陣を張ったのは、例によって経団連である。今回の改正法案では、法制審議会の結論を踏まえて社外取締役設置の強制は見送ったものの、事業報告書への記載より難度が高い「定時株主総会での説明」を求めた点、「半歩前進」と言えなくもないし、事実、一定の成果は出ている。