1月28日に突如明らかとなった大手地方銀行の連携をめぐり、地銀界が色めき立っている。

 その連携とは、関東や九州地方など、各エリアの地銀9行が疲弊する地方の再生や活性化のためにネットワークを構築するというもの。大口融資案件について協調融資をしたり、各行の地元の融資先に他行の取引先やM&Aの候補先を紹介し合ったりしていくという。

「連携の内容に目新しさはない」(地銀幹部)ものの、全国規模でのこのような連携は前例がない上、参加しているのは各エリアのトップレベルの銀行だ。

 しかも、国内の市場縮小による将来の経営悪化を案ずる金融庁から、折しも地銀は生き残り策の提示を迫られているところ。連携発表の2週間前には金融庁の畑中龍太郎長官に、「経営統合などを経営課題として考えてほしい」と念を押されたばかりである。

「まさかこの9行を核に再編が起こるのか」──。お声がかからなかった地銀は疑心暗鬼に陥った。昨春、自民党が、福岡銀行が中核となるふくおかフィナンシャルグループを挙げて「広域をカバーする銀行グループのさらなる誕生を促進すべき」と水面下で金融庁に説いていたことを思い出し、こう深読みする地銀役員もいた。

 ただ、より現実的な懸念は再編というよりネットワーク参加行による「他エリア荒らし」のようだ。

 この連携により、9行の他エリアにおける新規融資の獲得チャンスは確実に高まる。自行エリアの情報を欲している他エリアの企業を紹介してもらえば、情報提供を機に、その企業の融資まで取りつけられる可能性が高くなるからだ。