国際小口貨物分野で“日の丸連合”が誕生しようとしている。核となるのは航空フォワーダー(貨物混載業者)の2社、日本通運と近鉄エクスプレス(KWE)だ。かけ声は「打倒、外資系インテグレーター(総合物流業者)」。空陸一貫輸送が可能な日本初のインテグレーターを設立し、急成長するアジアで勝負に挑む。

 「(国際物流は)日通の協力も得ていく方向で考えていかねばならないだろう」。日本郵政の西川善文社長が期待を込めて述べた直後、「今の日本郵政は国際物流の実体がないので、今後の検討課題だ」と日本通運の川合正矩社長はつれない言葉でかわした。

 2007年10月初旬、郵政と日通は宅配便事業の統合を発表。その会見席上、国際物流で提携する可能性に質問が及ぶと、両トップの態度は見事に分かれた。「国際物流で日通と手を組みたい郵政」に対して、「すぐに組む気はない日通」という構図である。

 このとき日通には意中の相手がいた。航空フォワーダーで競合する近鉄エクスプレスである。あちこちに出資し、“全方位外交がお得意”とも揶揄されてきた日通。「顧客に応じた物流を提案するには、どこかの色がつくよりも、いろいろな企業と連携する無色透明な企業であることが望ましい」(中村栄一・日通航空事業部専任部長)という姿勢に基づく。だが、その日通が「さすがに色を出していかないといけない」と決断を下し、国際小口貨物でKWEとの連携に向けた検討に動き出したのだ。

 郵政を袖にして、最大のライバルであるKWEと組むことを日通に促しているのは、勢いを増す世界四大インテグレーターの存在である。独DHL、米UPS、米フェデックス、蘭TNTは、世界で企業の買収や売却を繰り返し、日本を含むアジア市場で大型投資を続けてポジションを強めている。

 DHLは、日本市場に対して1999年から200億円に及ぶ投資を行ない、今年6月には関西国際空港に50億円を投じて貨物施設を拡張。同施設を含め、今後2~3年で日本に110億円を投じる計画だ。インフラ拡充に力を入れる中国への投資総額はなんと1000億円超。国際宅配便市場における日本でのシェアは3割(2006年売上高ベース)を占め、日本、中国、韓国それぞれでマーケットリーダーのポジションを獲得し、本拠地である欧州にも劣らない勢力をアジアで誇っている。

 メガ化したインテグレーターによる物流の寡占化は何年も前から始まっているものの、ここにきてフォワーダーをいっそう悩ませる動きがある。書類や商品サンプルなどの小口貨物を中心に扱うインテグレーター勢は日本発の国際宅配便市場の7割を占めているが、さらにフォワーダーが手がける大口貨物にも手を伸ばしているのだ。