TEFCAS思考法の前篇では、最後のS(成功)のイメージを具体的に描き出すことから始める重要性を述べた。この後篇では、F(Feedback:フィードバック)、C(Check:チェック)、A(Adjust:調整)の各ステップについて説明しよう。

フィードバックを与える時の注意(Feedback)

 出来事を評価するために、自分がどの程度うまくできたかについての情報、つまりフィードバックが必要だ。

 ある意味で、フィードバックがTEFCASの中で最も難しいステップである。フィードバックには悪いと認識されるものもあるからだ。誰しも、マイナスのフィードバックと思われるものは避けたいという自然な欲求がある。悪いニュースの伝え手を罰したい衝動は極めて一般的であり、大企業の役員室の多くでは特にそうである。

 しかし広い意味では、それが誠実で、成功について合意した定義から外れたイベント(出来事)を正確に指摘しているなら、悪いフィードバックなど存在しない。われわれに貴重な情報を提供してくれるので、すべてのフィードバックは良いものなのだ。

 良いフィードバックは積極的に求めて、奨励する必要がある。しかし、マネジャーとチーム・リーダーが成功するために聞く必要のあることではなく、自分たちの聞きたいことだけしか言わないようなゴマすり人間で周りを固めることが多すぎる。うまく行かなかったことについては誰も言いたがらないし、報告も期待されていない。それで、彼らは問題があってもごまかして言葉を濁し、取り繕おうとするのだ。

 フィードバックを求める経営幹部に誠意がないと、プロジェクトがうまく行っていないと告げた人を不当に批判したりする。悪いニュースを伝えるメッセンジャーを非難することは、本当に最悪の状態になるまで悪いニュースが上司に届かないことを確実にするだけだ。そして、その時にはもう遅すぎる。それよりも、マネジャーはメッセンジャーに見返りを与えるべきである。彼は成功への生命線を提供したのだから。

 フィードバックは一方向だけのプロセスではない。フィードバックを与えると同時に受ける用意がなければならない。フィードバックを与える時にも受け取る時にも同じルールがあてはまる。率直、具体的、そして目標に関連していることだ。

 フィードバックを受け取る人の目標に結びついたフィードバックを与えると、個人的で感情的な対立を回避できる。性格や人格の問題ではなく、取るべき行動や必要な調整が課題となるからだ。相手に対して「あなたは悪い人間だ」とは決して言っておらず、目標を達成するためには特定のものごとを他の方法で行う必要がある(Try-all、すなわち試行を調整する必要がある)と言っているだけである。

 フィードバックがないと、辿っている道が目標に続く道であると想定することしかできない。この場合、われわれは脳に生じた空白を推測と仮説で埋めるしかなくなる。真実を求めるフィードバックは成功するための生命線である。貴重なフィードバックは目標達成のために選んだ行動の効果測定を提供する。また、それは成功を収めるのに必要な今後の調整と、T(試行)に向けて計画するためのデータを提供する。