ベンチャー企業の経営者として実務に携わり、マッキンゼー&カンパニーのコンサルタントとして経営を俯瞰し、オックスフォード大学で学問を修めた琴坂将広氏。『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)の出版を記念して、新進気鋭の経営学者が、身近な事例を交えながら、経営学のおもしろさと奥深さを伝える。連載は全15回を予定。

帰国して驚いた海外有名大学への過剰な賛辞

 私は、2013年の4月から、5年弱在籍したオックスフォード大学から、現在の所属校である立命館大学に移籍しています。

 コンサルタントとしてドイツにいた時代も含めると7年ほど海外で生活していましたが、日本に帰ってきて一つ驚いたことがあります。それは、欧米の大学に対する崇拝にも似たような、批判なく礼賛する傾向です。

 書店に足を運べば、欧米の有名校の教員が書いた書籍があふれています。そして、海外の有名校の教員であれば、無条件にすばらしいことを言っているかのごとく考えている人も、多いように思います。

 私自身、オックスフォード大学という、いわゆる海外の有名校の出身者であるため、この状況は、都合が良いといえば都合が良いのは事実です。しかし同時に、少し行き過ぎなのではないかとも感じているのです。

 もしかしたら、一昔前までは、高級品市場で顕著であった欧米ブランドを礼賛する傾向が、教育と知識という分野では未だに根強く残っているのかもしれません。

 そこで今回もブログ的に、よく言われる欧米の大学と日本の大学の“格差”、そして、日本ではとくに強いと感じている、欧米の大学に対するあこがれやブランド意識について、自分が思うところを書かせていただきます。