満を持して米国市場上場を申請
中国電子商取引の支配者は何を狙う?

 今まで不思議に思っていた、米国新興市場の軟調な展開の理由がわかった気がする。5月6日、中国の巨大IT関連企業であるアリババ集団が、米国の証券取引委員会に新規株式公開の申請書を提出したからだ。

 実際の同社の株式公開は今夏以降と見られるものの、時価総額2000億ドル(約20兆2000億円)を超えると見られるそのインパクトは凄まじい。同社が得意とする中国を中心とする電子商取引は、今後も高い成長率が見込まれることから、多くの投資家の注目を集めることは間違いない。

 それだけ巨大で、しかも成長性が見込める新規公開を控えているとすれば、既存のFacebookやGoogleでさえ霞んで見えることだろう。アリババの新規公開株を購入しようとすれば、ある程度既存のIT銘柄を売却して、手元資金を用意しておく必要もある。

 アリババの米国市場での株式公開の背景には、中国や香港などの市場で株式公開を行う際の規制によって、カリスマ経営者と呼ばれるジャック・マー氏をはじめとする現経営陣の支配力が低下することを、懸念した面があると言われている。

 中国で生まれ、中国で育ったアリババが海を越えて広い大海に漕ぎ出していく様は、まさにIT関連の成長企業のサクセスストーリーそのものと言える。おそらく同社の新規株式には、多くの投資家が夢と希望を抱くだろう。

 アリババ集団は、1999年にジャック・マー氏によって、企業間の電子商取引(B2B)をオンラインで仲介する企業として設立された。同社が運営するアリババ・ドット・コムは中国経済の高成長を背景に、短期間のうちに多くの会員を集め、急成長を遂げることになる。

 同社は、2003年に個人向けのショッピング・サイトである「タオバオ」をオープン。また2007年には、企業と消費者の間で高価格商品を仲介するB2Cオンラインショップ「Tモール」を創設した。