4月1日、日本高血圧学会から「高血圧治療ガイドライン2014」が発行された。

 一般人に関係があるのは、若年~中高年の降圧目標値が従来の130/85mmHg未満から、140/90mmHg未満に緩和された点だろう。従来はより厳しい目標値(130/80mmHg未満)だった心筋梗塞の既往者も、140/90mmHg未満に統一されている。ただし、糖尿病を合併している場合は、従来通りの130/80mmHg未満に据え置かれた。また、75歳以上の高齢者は150/90mmHg未満に緩和された。

 降圧目標値の緩和は世界的な傾向で、昨年末に改訂された米国の「高血圧治療ガイドライン改訂第8版(JNC8)」でも若年~中高年の降圧目標値は140/90mmHg未満。こちらは、糖尿病や腎機能障害を合併しているケースでも同じ値だ。また早くも60歳以上から150/90mmHg未満へと、もう一段階、緩和されているのが日本との違いだろう。

 先日、この“目標値緩和”の影響を調べた研究報告が米国医師会雑誌「JAMA」に報告された。全米健康栄養調査のデータを検討したもので、厳格な血圧管理をうたった旧ガイドラインで薬物治療の対象だった18~59歳の1.6%、60歳以上の27.6%が、JNC8の基準では対象から外れることが判明した。単純に4人に1人が「非患者」になるわけで、「今までの治療(費)は何だったの?」と疑問が噴出しそうだ。

 そもそもなぜ、降圧目標値が緩和されたかというと、より低い目標値にしても、期待するほど循環器疾患の予防効果や死亡率の改善が得られなかったため。ただし、それは統計上の話。自分の降圧目標値は、持病などを考慮し、医師と相談して決めるといい。

 さて、生活習慣の改善で血圧は結構下がる。1日の減塩1グラムにつき上の血圧が約1mmHg下がるし、体重を5キログラム減らせば上下の血圧が約4mmHg低下。有酸素運動や節酒で、上下とも3~4mmHgは下がる。その気になれば10mmHgくらいは薬なしで下がるのだ。今回の緩和は、自助努力を見込んで、なのかもしれない。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)