2008年3月末時点の時価総額上位企業のランキングを見た。全般的な株価下落の影響で、時価総額が5兆円あるとベストテンに入る。しかし、時価総額上位銘柄は、ファンドマネジャーならほぼ必ず持つだろうが、個人投資家としては、買う気がしない。個々に見ると買うべきだと思う銘柄はあるかもしれないが、時価総額がすでに大きい銘柄の株価が、今後何倍にも上昇する事態は想像しにくい。

 このようなことを考えたのは、個人投資家のベンチマークになるような株価指数をつくれるとおもしろいと思っているからだ。

 日本株の株価指数で代表的なものというと、TOPIX(東証株価指数)、日経平均の2つだ。前者は機関投資家のベンチマークになっているが、時価総額の大きな銘柄の構成比率が高く、いま一つ魅力的でない。東証一部の全銘柄を含んでおり、個人がまねをするのは難しい。他方、日経平均は毎日の相場の上げ下げを語るには便利だが、現実のポートフォリオとして見ると株価の高い銘柄のウエートが異様に高く、バランスが悪い。

 つまらないとか、バランスが悪いといっても、「歪み」がプラスに働くかマイナスに働くかはおおむね半々なので、これらに連動するETF(上場型投資信託)に投資することは、個人投資家にとって、安価で簡単な運用方法であり、悪いとはいえない。ポートフォリオは、多様なものでありうる。

 しかし、個人投資家が指数を構成する思想に共感できて、ある程度まねもできて、自分で株式ポートフォリオを運用する場合の参考になるとともに競争相手にもなるような株価指数があり、これが随時公開されていて、さらに場合によっては、この指数に連動するETFがあるといいのではないか。