国際公約を盾にする安倍政権の思惑

 7月8日、安倍晋三首相はニュージーランドに続きオーストラリアを訪問。同国議会で演説を行った。そこで首相は、集団的自衛権行使容認の閣議決定を説明、オーストラリアに理解を求めた。

 一方で政府は、集団的自衛権行使の関連法案の提出を来年の通常国会に先送りすることを決めた。

 当初の予定であった今秋の臨時国会での法案審議・採決を断念したのである。

 その理由としては、秋の福島知事選、沖縄知事選への影響、来春の統一地方選への影響などが指摘されている。あるいは、年内に消費税10%への引き上げの判断もしなければならない。そのことも政府をためらわせているようにも見える。

 もちろん、さまざまな理由が重なって先送りしたのであろう。それは認める。

 だが、そんな消極的なものかと言えば、決してそうとは言えない。

 安倍首相は、国会での審議や選挙による国民的議論より、閣議決定の“国際公約化”の先行を図っているのではないか。民意をないがしろにする日本外交の実態が露わになっている。国際社会や諸外国に声高に宣言することによって、「国際公約だから」、「国際信用に関わる」と言いながら既定の方向に突進する。反対する民意を無視している印象だ。これも外務省の既定のシナリオだろう。

 そもそも国際公約は、官僚の常套手段である。首相をうまく取り込んで、海外で発言させて引き返すことができなくする。消費税増税もTPP参加も、首相の海外での発言による国際公約が決定的な出発点となった。