2013年のサイバーエージェントレディスで1年11ヵ月ぶりに優勝し、以後調子を上げ、2014年7月15日現在、世界ランキング38位とランクアップ中の(日本勢では1位)女子プロゴルファー横峯さくら。彼女の復活を支えた「弱いままでも勝てる」メンタルトレーニングとは?
(まとめ/書籍オンライン編集部)

人は感情を
コントロールできない

女子プロゴルファー横峯さくらを<br />スランプから救ったメンタルトレーニング森川陽太郎(もりかわ・ようたろう)
OKラインメンタルトレーナー。1981年東京生まれ。元サッカー選手。スペインやイタリアでプレー。5度の手術と5年にわたるリハビリの末26歳で引退。その後、心理学やメンタルトレーニングを学び27歳で株式会社リコレクトを設立。「OKラインメンタルトレーニング」という独自のトレーニング方法で、プロゴルファー横峯さくらをはじめとするトップアスリートや企業向けに、「結果を出す」ためのメンタルサポートサービスを展開。
著書には『絶対的な自信をつくる方法―「OKライン」で弱い自分のまま強くなる』『本番で実力が出せない人のための「いつもの自分」トレーニング―簡単!直前!“勝負弱さ”を克服する50の方法』(ともにダイヤモンド社)、『ネガティブシンキングだからうまくいく35の法則』(かんき出版)がある。
森川陽太郎オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/youtarou-morikawa/
(撮影/佐久間ナオヒト)

 私たちの活動は「感情」「思考」「行動」の3つの要素でできています。
ところが人は、どうしても「思考」を中心にしようとしがちです。

 ある課題に対して「自分にはできないよ」というネガティブな感情を持ったとしましょう。多くの人は、「がんばれば『できない』ことなんてない」と思考で自分の感情を抑え込み、「徹夜をすれば何とかなる」「気合いで乗り切ろう」などと”前向き”に考えようとします。
  ネガティブな感情を切り離して、思考だけをポジティブにしようとするのです。

 不安や自信のなさという感情があるのに、そこからは目を背けて、無理にポジティブに思考して行動する。できないと思っているのに、「できる」と言い聞かせて行動する。
さらには「できないよ」と思った自分に対し、「そんなことを考えるからダメなのだ」と、自分の感情を否定してしまう人も。
しかし、これではなかなかうまくいきません。

 なぜなら、そもそも私たちは自分の感情をコントールできないからです。

 コントロールできないものを無理やり封じ込めてしまうのではなく、出てきた自分の感情を受け入れ、その上で、思考を感情に合わせていくべき。そして行動だけを切り離せばいいのです。

 具体的に説明しましょう。