2015年の中学入試はどうなるのか。現時点で予想される全体的な動向と、3つの注目点について述べてみたい。2008年のリーマンショック以来、首都圏の中学入試は国私立ともに受験者の減少が続いている。14年入試は前年比で1.6%減だった。それでも、この減少幅はここ数年では少ないほうである。

 

倍率緩和が続く首都圏の中学入試状況

 14年入試では、首都圏男子の上位校に、実質倍率2倍を切るような「入り易くてお得な学校」が多く見られた。

 2002年からの受験動向は、こちらのグラフに詳しい。
http://www.morigami.co.jp/main/pdf/5306bec37e9b9-r-5247.pdf

 14年入試における私立中学の定員充足状況を見ると、おおよそ偏差値45(四谷大塚)以下の学校で定員割れの状況が鮮明になった。共学校では5ポイント高く、女子校では5ポイント低いラインで、それぞれ定員割れとなっている。

森上展安(もりがみ・のぶやす)
森上教育研究所代表。1953年岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾を経営後、88年から現職。中学受験生の父母対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナーをほぼ毎週主催。著書に『10歳の選択 中学受験の教育論』『中学受験 入りやすくてお得な学校』(ダイヤモンド社)。

 2015年入試はどうなるのか。

  今年4月に消費税が増税された。そのためもあってか、7月に実施された模擬試験の受験者数は軒並み減少に転じおり、前年比で3.2%減となっている。

 この流れは2015年入試でも続きそうで、倍率はさらに沈静化する兆しを見せている。

 しかし、どの学校も一律に志願者が減る、というわけではない。一般に、首都圏の周辺部や中・下位校レベルでは志願者の減少が大きくなる。これに対して、中心部にある学校や上位・難関校レベル以上では、ほぼ入試難度を維持している。両者の人気格差は大きい。

 

 

2015年入試、3つの注目点

 実質倍率(合格者数÷受験者数)で2倍以上、というのが選抜状況を測る1つの線引きとなる。2015年入試でも、上位成績層では2倍強の実質倍率が維持されそうなのに対して、中・下位成績層は1倍台の入り易い入試状況に転じている。

 男子は、2014年入試の「本郷旋風」が続き、競合する上位男子校が軒並み2倍前後の緩和状況に落ち着くものと見られている。
一方で、難関校は3倍弱の比較的高い水準となる状況が続きそうだ。

 女子は、2月1日が日曜日となる「サンデーチャンス」が最大の要因となり、主要校の受験日と倍率状況に変動が見られるようになる。とはいえ、合格者数で実質倍率を調整する動きも出るだろうから、表面上の志願者数の増減ではなく、模試の合否判定を参考にして、志望校の検討をしてほしい。

 3つ目の注目点が、学校の募集形態の変更と新たな魅力の付加である。
横浜では、青山学院大学の系属校が生まれ、18年から共学化する。
東京では、校名変更とともに共学化する女子校が2校ある。
新たな魅力としては、今年指定を受けたスーパーグローバルハイスクールに付属する中学高校への注目度が増すものと思われる。

 とはいえ、2015年入試は全般的に入り易い状況になっている。自分に合った学校をよく吟味して、あと半年間、悔いのない学習をしてほしい。


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