購買戦略研究所社長 古市勝久
購買戦略研究所社長 古市勝久(撮影:宇佐見利明)

 「購買費用の20%は確実に削減できる」。こう言い切るのは、企業の購買業務のアウトソーシングやコンサルティングを手がける会社、購買戦略研究所を率いる古市勝久である。

 企業がビジネスを営んでいくには、さまざまなモノやサービスを購買しなければならない。パソコンやコピー機などのオフィス用品、チラシやパンフレットといった販売促進用品、はたまた店舗の新築や改修、オフィスの清掃など――。これら一つひとつは少額でも積み重なれば多額になり、大企業ともなれば数10億~数100億円にもなる。

 たとえば、ある大手家電量販店では、チラシに年間100億円近くのコストがかかっていたが、古市の手で20%以上の削減に成功し、削減されたコストは純利益となった。

 もちろん、どの企業でも複数の売り手から相見積もりを取ったり、価格交渉を行なうことでコスト削減に取り組んでいる。だが、古市によれば「相見積もりを取る会社数は平均すると3社ぐらい。当社では、多ければ300社から相見積もりを取ることができる」というから尋常ではない。

通いつめて注文を取る
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 これを可能にしたのが電子競争入札方式「リバースオークション」と呼ばれる手法だ。簡単に言うと、ネット上で入札に参加する企業同士が入札価格を互いに公開し合い、競り下げる方式のことである。

 この方式は、2000年頃に米国の小売り業を中心に広がり始めた。古市が知ったのもこの頃で、会社勤めの傍ら、起業に向けて経営学修士(MBA)の勉強をしているときだった。電子競争入札に将来性を見出した古市は、社名の由来でもある持ち前の「研究好きのオタク」ぶりを発揮し、徹底的に研究した。