持ち帰り弁当チェーン大手のオリジン東秀をめぐり、2006年初頭にTOB合戦を繰り広げたイオンとドン・キホーテ。

 最終的にはオリジンに敵対的TOBを仕掛けたドンキに対して、ホワイトナイトとして参戦したイオンがドンキ保有のオリジン株をすべて買い取るかたちで決着したものの、当時は禍根を残すかのような激しい買収戦として報じられた。

 にもかかわらず、じつは両社は、ひそかに“接近”していたことが判明した。11月23日、関東圏では最大級のショッピングモールであるイオンモール千葉ニュータウン店に隣接して新棟がオープン。その一階に核店舗として入居したのがドン・キホーテだ。

 ドン・キホーテ業態でのイオンモールへの出店は、これが初めてで、ちょうどオリジンTOB合戦の時期と重なる2年前から出店交渉を行なっていたという。

 「イオンにとって、ドンキは理想的なパートナー」と、あるイオン幹部は言う。というのも11月末に施行された改正まちづくり三法により、郊外の大型商業施設の新設は大幅に制限を受けるからだ。

 郊外案件が減るなか、中心市街地などに新たなかたちでの出店をイオンは模索しているが、現状では中心市街地向けの業態の手駒は少ない。

 一方ドンキも、出店が住民の反対を招くことが多く、従来の出店政策に限界が出てきている。そこで、たとえば市街地の空きビルをイオンモールがテナント運営主体として買い取り、そこにドンキがテナントとして入居する。運営面などでイオンが適切なアドバイスを行なうかたちにすれば、主婦など新たな顧客向けの業態の開発も可能になるだろう。

 現段階ではまだ具体的な話はない。だが“第1弾”協業ともいえる千葉ニュータウン店への期待は両社共に高い。

 「イオンモールに来店するヤングファミリー層など、ドンキが単独ではつかみ切れなかった層を取り込める」と森屋秀樹・ドン・キホーテ千葉支社長は言い、「ジャスコの“一核”しかなかったモールに新たな集客の核が加わる」と野島英夫・イオンモール会長も期待する。成果次第では、かつての敵が相思相愛のパートナーに化けるかもしれない。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 鈴木洋子)