近年、共有からシェアへと呼び変えが進んでいるが、墓地の共有については「シェア墓地」とするわけにもいかないようだ。墓地の共有は数年前から「墓友」(はかとも)と呼ばれ、時折メディアに取り上げられている。直近ではテレビドラマに取り上げられたことをきっかけに「ドラマ上の設定と思っていたら、本当にあるのか」と話題になった。

 この反応をみる限り、墓地の共有というスタイル、あるいは「墓友」という呼称はそれほど浸透していないようだ。誰でもいずれは墓地に眠るわけだが、自分や家族が元気でいるうちはその存在を強く意識することは少ない。ましてや墓地の維持について考えるのは、多くの場合、死を意識してのことだろう。

 出生率の低下や貧困層の増加により、受け継ぐ人のいない墓地や、維持ができなくなった墓地、つまり無縁仏が増えることが予想される。「墓友」は、例えば親しい友人間で墓地や墓石を購入し、寺院や各種法人に管理を任せることで、後継者問題を事前に解決しようとする試みだ。高齢者向け住宅や有料老人ホームが共同墓を設置するケースもある。