解散風が一段と勢いを増している。

 11日、ついにNHKはお昼のニュースで“解散風”をトップで報じた。APEC、日中関連ニュースを二の次にしたのである。

 解散風を突風にしたのは政府に近いと言われる読売新聞であった。NHKと読売新聞がトップで扱えば、何らかの確証を得ていると見るのが常識だ。

 北京に発つ前の9日、安倍晋三首相は解散について「全く考えていない」と強調した。首相に直接「解散はあるのか」と問うても明確な答えが返ってくるはずがない。ただ、その発言ぶりや態度からある程度推測できるに過ぎない。

 どの首相も、解散権の行使に当たっては、最後の最後まで決めかねている場合が多いものだ。安倍首相も未だ迷いはあるだろうが、真剣に解散・総選挙を検討していることは間違いない。

候補者の選挙準備が本格化すれば
もう解散・総選挙は止められない

 いつでもそうだが、現職や新人が「カネを使い始めたら」解散を止めることは至難の状況となる。

 その点で注目すべきは、10日の茂木敏光自民党選対委員長の次の発言だ。

「いつ解散があってもいいように選挙準備を推進する。空白区を埋める作業や、公認調整はしっかり進めている」

 この発言は選挙準備開始の党の号令と言ってもよい。

 候補はまず、ポスターをつくる、選挙事務所を確保することを最優先にする。これが始まったらもう解散・総選挙は止められなくなる。

 特に選挙事務所を借り、数十台の臨時電話を設置すれば、選挙が先送りされると資金面でお手上げになる。悲鳴に近い声が党に寄せられるだろう。それにポスター掲示板をはじめ選管の準備作業が始まれば、解散はほぼ確定的になる。

 大手メディアの報道によって、今はむしろ安倍首相は「解散せざるを得ない状況」に追い込まれつつある。