日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属している。しかし、組織はある目的のために集まった人たちで成り立っているにもかかわらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥る。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけないことだ。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」について症例を挙げて紹介。経営とリスクマネジメントの観点から数多くの企業を見てきた筆者プリンシプル・コンサルティング・グループ代表取締役の秋山進さんが考える治療法も提示する。

内容よりイメージ勝負!?
日本企業のプレゼンは本当に良くなったのか

「最近、社内の会議で写真や図やらを映写して偉そうに歩きまわってプレゼンする奴がいるんだよ。なんだっけ。テクノとか言ったな」

 いえいえ、TED(テッド)です。

「あれってどうにかならんかな。偉そうに話す割に内容が考えられていなくて、途中でちょっと質問したらあえなく沈没してしまったよ」

 パワーポイントが浸透したこの20年で、日本のプレゼンテーションは劇的に変わった。それまでは「文章」をだらだら読むだけの人ばかりという印象だったが、今では写真やグラフを多用して「ビジュアル」を作り上げ、雄弁に語る人が増加している。

 プレゼン技術は格段に上がった。しかし、そのすべてが「社内的に」評判がいいかといえば、そうでもない。