医療保険は費用対効果が良くない
入院給付金には日数制限がある

 今回は、医療保険の見直しに着手する。

 最近の医療保険の主流は、「終身保障・保険料終身払い」である。一生涯の保障が続くのは安心に思えるが、保険料は保障期間中支払うため、リタイア後まで支払い続けると大きな出費となる。

 セミナーなどで参加者に医療保険に支払う保険料の予算を尋ねてみると、月5000~1万円くらい払ってもいいと答える人が多い。たとえば40歳の人が終身医療保険に月々5000円を支払うと、1年間で6万円、60歳定年までに120万円、80歳まで支払うとトータル240万円ものお金を支払うことになる(長生きするともっと払う)。配偶者の出費も合わせると、夫婦2人分でざっくり2倍の480万円もの出費だ。

 月わずか数千円の出費でも、数十年にわたる固定費は総額で大きな負担になる。うっかりすると医療保険の保険料は、老後資金作りの妨げにもなり得るし、リタイア後は年金収入や老後資金の目減りの要因にもなる。

 一方、病気になったとき医療保険からはいくらお金がもらえるのだろう。「入院日額5000円(1入院120日型)・手術給付金は内容に応じて入院給付金の10倍、20倍、40倍」というタイプに加入しているとする。

・入院給付金は、1入院で最大60万円(5000円×120日)
・手術をすると、手術内容に応じて5万円、10万円、20万円のいずれかの金額

「1入院」の定義には注意したい。保険会社の約款には「同じ病気や関連する病気で180日以内の再入院は“1入院”としてみなす」とある。たとえば、抗がん剤治療を複数回にわたってする場合、1クール目が終わるといったん自宅療養で1~2ヵ月体を休め、再入院して2クール目の抗がん剤治療を受けると、2回の入院を通算して「1入院」としてカウントされる。180日を超えるとリセットされるが、保険期間を通じた「限度日数」という制限もあり、その日数は「730日」、「1000日」など契約により異なる。

 私の身内の場合、白血病になり最初の入院は60日間、1ヵ月の自宅療養の後、次は70日間入院した。「1入院120日型」の医療保険に入っており、それぞれの入院は120日以内なのですべて給付金を受け取れると思っていたら、180日以内の再入院のため2回の入院は「1入院」とカウントされ、120日を超える10日間分については、入院給付金の対象外となった。