夫婦は、お互いにすべてを
知っている必要はないと思う

 ごく普通のサラリーマン・稲葉十吉34歳に、突如として降りかかった人生最悪の災難。それは伝説のヒットマン“二丁”の名を継ぐことだった──。

星野真里
ほしの・まり 1981年7月27日生まれ、埼玉県出身。子役を経て、連続テレビ小説『春よ、来い』でデビュー。『3年B組金八先生』で金八先生の娘役を演じて脚光を浴びる。今年は『60歳のラブレター』『私は猫ストーカー』など出演映画が目白押し。公開待機作に『携帯彼氏』『空気人形』などがある。

 現在も「週刊漫画ゴラク」にて好評連載中の「今日からヒットマン」は、普通のサラリーマンが、ヒョンなことからスゴ腕のヒットマンの後を継ぐことになる物語。この人気マンガを実写化した本作は、ケンカが強いわけでも、射撃の名手でもない十吉が、営業で培った気転と得意の話術、即席で得た銃の知識で、絶体絶命のピンチを何とか乗り越えていく姿がコミカルに綴られていく。

 この映画で、十吉の愛妻役を演じているのが星野真里だ。夫が外で修羅場をくぐり抜けていることなんて露とも知らず、帰りが遅い夫のことを怒ったり、すねたりと、出番は少ないながらも、キュートな存在感を発揮。そんな彼女に撮影現場のこと、そして、女優という仕事について語ってもらった。

主演の武田真治さんとは、
冷たいことも言えてしまう間柄に

──この映画は、武田真治さん演じる旦那さんが、ある日突然、スゴ腕ヒットマンの名を継ぐことになりながらも、その事実を、星野さん演じる妻に言えない(言うと妻が殺される)設定になっています。もし、星野さんがご結婚なさって、愛する旦那様が秘密を持っているとしたら、どうなさいます?

星野:そうですね。私はお互いにすべてを知っている必要はないと思っていて。隠し事の中にも、相手を思っているからこそっていうのもあるし。そういうのは、あってもいいのかなって思います。

──では、この映画のように、隠し事がヒットマンだったら?

星野:そもそも、人を殺してはいけないので(笑)。ただ、なんで旦那さんが、隠し事をしながらも頑張っているかといえば、妻を巻き込まないためなんですね。そこがきちんと描かれているので、ありえない世界ではありながらも、「頑張って」と感情移入しやすいかなって思いました。

──今回はコミカルなドラマですが、シリアスとコメディと、どっちの方が演じやすいと感じています?

星野:シリアスだからとか、コメディだからと、特に分けて演じたりはしないですね。今回もコメディっていう意識はなくて、男臭い世界の一服の清涼剤のような存在感が出せればと考えていました。なので、特に面白くしようというのではなく、私が演じる奥さんは旦那さんを心配していて、それで、ちょっと語気が強くなってしまう、そういう普通の女性だと考えていました。