イギリスの経済統計は、実に使いやすくできている。使い方に慣れると、統計データを調べるのが楽しい作業になり、つぎつぎにさまざまなデータを調べたくなるほどだ。

 ただし、慣れるまでは非常に使いにくいと感じるかもしれない。そこで以下では、イギリス経済統計のシステムに慣れるために、使い方を具体例で説明することとしよう。

 まず、Latest Indicatorsのページを開く。ここには、物価、労働市場、国民経済計算、国際収支などという項目が並んでおり、最近の数字が示されている。このページを出発点として、より詳しいデータを得ることができる。

産業別の雇用者数の時系列推移を調べる

 たとえば、イギリスの雇用情勢を知りたいとしよう。この場合、Latest Indicators のページの[LABOUR MARKET]の項で、[Employment rate]の[More]をクリックし、雇用情勢のホームページを開く。ここには、最近の雇用情勢がグラフで示されている。これを見ると、2008年に失業率が急上昇したことがわかる。

 より詳しいデータを知りたい場合、右にある[Related Links]において、[Labour Market Statistics Time Series Data]を選ぶ。産業別雇用者数の時系列データを得たいのなら、つぎのように進む。


(1)[5.2 Workforce jobs by industry]を反転させ、[View Series ]の[go]ボタンを押す。

(2)[DYDC:UK Workforce jobs(SA):Total](雇用者総数)を反転させ、[Add to Selection]の[go]ボタンを押す。

(3)下のウィンドウには[Download]が表示されているが、これを選ばず、[Back to Series]にして[go]ボタンを押し、(2)のデータ系列の場面に戻る。[LOLO:UK Workforce jobs(SA):Total](製造業雇用者)を反転させ、[Add to Selection]の[go]ボタンを押す。

(4)再び[Back to Series]にして[go]ボタンを押し、(2)のデータ系列の場面に戻って、[LOMA:UK Workforce jobs(SA):Total](金融業雇用者)を反転させ、[Add to Selection]の[go]ボタンを押す。

(5)[Download]のボタンを押す。[Download CSV]にして[go]ボタンを押すと、DYDC、LOLO、LOMAデータがダウンロードされる。この表はCSVファイルなので、エクセルで開いて構成比や伸び率などが簡単に計算できる。また、グラフにすることもできる。たとえば、金融業の雇用者数(LOMA)は、1970年代末において280万人程度で、製造業の雇用者(LOLO)713万人の4割程度だった。ところが、92年ごろにほぼ同数となり、2008年では667万人と、製造業の雇用者の2倍以上になっていることが、すぐにわかる。