戦後70年の節目の年、2015年が明けた。

 安倍晋三首相は1月5日の年頭会見で“戦後70年”に触れ、内外に向けて新たに安倍談話を発出する意欲を示した。

 戦後50年の「村山談話」、戦後60年の小泉談話に続く、3度目の歴史認識に関する首相談話となる。

 記者会見で安倍首相は本年8月の談話の基調を語っている。

 それによると、「村山談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を引き継いでいく」と明言。さらに「戦後70年の節目を迎え、安倍政権として、先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み」と語った上で、「今後アジア太平洋地域や世界のためにさらにどのような貢献を果たしていくのか」を談話に盛り込むことを強調した。要するに、談話を通じて安倍流の積極的平和主義を発信するというのだ。

 戦後70年はもちろん日本だけではなく、世界にとっても第二次世界大戦が終わってから70年を経た重要な年である。

 だから本年は世界でさまざまな記念行事が予定されているが、戦後に生まれ変わった旧枢軸国(日本、ドイツ、イタリア)などに配慮してそれなりに抑制されたものになるはずだ。

 だが、中国だけはどうやら別のようである。このときとばかり“戦後70年”を政治的に利用するつもりのように見える。

戦後70年の今こそ警戒すべき
中国の覇権主義

 中国、特に習近平国家主席は、戦後の世界秩序の形成過程に強いこだわりを持っている。

 中国では戦後の世界秩序(ヤルタ体制とも呼ばれる)は、戦勝国である国連の常任理事国5ヵ国による日本など旧枢軸国を封じ込める世界機構という認識が強すぎる。国連創設当時ならともかく、戦争に参加しなかった国や植民地から独立した国々が大勢を占める現在ではもはやそんな単純な構図にはなっていない。それに当時の中国は国民党政権であって現在の共産党政権でもなかった。