これまで決算を赤字にすることで、不要なキャッシュアウトを防ぐことを述べてきた。今回は、ケーススタディとして、資産のオフバランス化でどれだけキャッシュをためられるのかを見ていくことにする。

不動産を売るために子会社をつくる

「オフバランスすると節税になるというのは、なんとなくわかりました。ただ、どうもいまいち具体的にイメージできません」という方もいらっしゃるので、数字を使って具体的に説明しましょう。

 E社は、九州地方で建設資材を取り扱う専門商社です。直近の業績は芳しくなく、5年前に借り入れた5億円の借入金が重くのしかかっています。金利は2%、年間1000万円の大きな負担です。しかも、その借入金には、本社の土地、建物が担保物件として設定されています。

 卸売業というのは、薄利な業界です。いまは業績がちょっと上向いていますが、これからは確実に需要がしぼみ、じり貧の世界に突入します。そもそも、E社は不動産業ではないので、自社で土地、建物を保有する必要がありません。ちょうど先代が引退し、現社長が経営権を握っています。この際、本社の土地、建物を売却して、借入金を一気に返済しようと計画しました。

 経理部に確認させたところ、土地の簿価は4億円、建物は1億円とのこと。けっこうあります。現在の評価は、土地2億円、建物5000万円、合計2億5000万円です。評価額は、不動産鑑定士の評価をもらっているので安心です。念のため、鑑定士は2人に依頼して評価してもらっています。まったく同じ評価ではなかったため、低い評価のほうを選択しました。

 E社には、グループ企業はありません。ですので、まずは子会社F地所を新しくつくります。E社の土地、建物が魅力的で買い手がたくさんいればよいのでしょうが、そんなところは現れません。だから、子会社をつくって、そこに土地、建物を売却することにしたのです。F地所は、不動産の賃貸を軸とした不動産管理会社という位置づけです。100%子会社だとまずいので、E社の顧問税理士を外部株主に入れておきました。