ピークを迎えている2014年10~12月期決算発表では、おおむね堅調な企業業績が確認された。しかし、日本株は昨年12月の取引時間中に日経平均株価で1万8000円をタッチしたときに、1ドル120円とそれによる業績改善をいったん織り込んでしまっている。

 それでも、株価が既に終わった期の決算発表に反応するのは、日本株の担い手が、指数先物やオプションなどを取引するマクロや短期筋から、ファンダメンタルズを重視して銘柄選択を行う投資家(ストックピッカー)に代わって再評価されているからだろう。

 その証拠に想定を上回る好業績を発表しても利益確定売りに押される銘柄が多い一方、悪材料出尽くし感から買い戻しされる銘柄も多い。投資家が「株主還元」に飛び付くのは、積極的にリスクを取りづらい中で手掛かり難であることを如実に物語っている。市場は「1ドル120円」以後のエクイティ・ストーリー(買う理由)を探しているのではないだろうか。

 一方で、よほどのことがなければ日本株の下値は限定的であろう。日本銀行による年3兆円の上場投資信託(ETF)買い入れ、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をはじめとする公的年金基金の国内株式運用拡大、さらにはかんぽ生命保険の国内株式運用拡大がクッションとなるためだ。

 約130兆円の運用資産を誇るGPIFは、国内株式比率25%の達成に向けて少なくとも5兆円以上の買い増し余力がありそうだ。約84兆円の運用資産を抱えるかんぽ生命も、国内株式比率は1%未満にとどまっているとみられ、仮に他の生命保険会社のように同比率を3%程度にまで高めていくとすると、まだ2兆円程度の買い増し余力がある計算になる。

 つまり、日銀、GPIF、かんぽ生命を合わせると大ざっぱに言って10兆円超の買い余力があるわけだ。これは12年10月以降の海外投資家による日本株買い越し金額17兆円余の、約6割に相当する水準だ。