自動車の「曲がる(電動ステアリング)」機能部品で世界シェア1位のジェイテクト。競争環境が激変する中、今後の見通しを聞いた。

ジェイテクト社長 安形哲夫 <br />自動車の「曲がる」機能で世界シェア1位を堅持するPhoto by Mitsufumi Ikeda

──自動車部品サプライヤーの競争環境が激変しています。昨年9月には、売上高世界9位の独ZFが同10位の米TRWオートモーティブを買収し、独ボッシュ、デンソーに次ぐ世界3位のメガサプライヤーが誕生しました。

 当社も約9年前の2006年に、光洋精工と豊田工機が合併して発足しました。売上高は1兆円を超え、従業員は世界で4万人強を抱える、かなりの規模のメガサプライヤーと自負しています。

 われわれの強みは、自動車の「走る」「曲がる」「止まる」という三つの基本的な機能のうち、「走る」「曲がる」の部分。特に「曲がる」機能である電動ステアリングの世界シェアは約34%。3台に1台の割合であり、世界一です。

──競争が本格化している自動ブレーキなどの安全領域では、「走る」「曲がる」「止まる」を統合的に電子制御する必要があります。M&Aで「止まる(ブレーキ)」機能を強化する可能性は。

 ボッシュも近年、ステアリング部門を強化し始めています。これは脅威ではありますが、われわれが「全体制御」の世界に足を踏み入れるのは難しい。全体制御ができるのは世界的に見てもボッシュ、独コンチネンタル、デンソーくらいでしょうか。