会社は本当に拡大していく必要があるのだろうか?単なる利益の拡大だけでは意味がない。社会を豊かにし、新しい価値を生み出し、働く人の人生を充実させる、「本当のマトモ」を組織として追い求める東京R不動産の戦略とは?著書『だから、僕らはこの働き方を選んだ』から一部を抜粋して紹介。
※この記事(2011年12月15日公開)は、東京R不動産がテレビ東京系列「カンブリア宮殿」に出演したことを記念して、再配信しています。

やりたいことをやってちゃんと稼ぐ戦略とは?<br />ビジネスとおもしろさのマネジメント左から馬場正尊氏、林厚見氏、吉里裕也氏

ビジネスリーダーたちからも多数推薦!

「これからの組織の本質が、ここにはある。個人が活き活きと自律的に働くこと。事業はそれに尽きる。 自由でフェアなチームは、清々しく、美しい。」
――江副浩正 氏(株式会社リクルート創業者/特例財団法人江副育英会理事長)
「これぞ、ノマド的に生きるための理想の働き方!20代にこそ読んでほしい本。」
――本田直之 氏(レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長)
「好きなことを、好きな仲間と、自由にやって、それでちゃんと食べていける。こういう人たちこそ、真の勝ち組なんだ。あぁ、ウラヤマシイ!」
――小山薫堂 氏(放送作家/脚本家)
「私もユニークな組織作りに興味があるので勉強になりました。」
――柳澤大輔 氏(面白法人カヤック代表)
「我慢という美徳を、喜びという価値に置きかえた一大事。」
――遠山正道 氏 株式会社スマイルズ(Soup Stock Tokyo)代表取締役社長
「自分たちの船をつくって、海を渡りたくなる本。」
――西村佳哲 氏 リビングワールド代表/働き方研究家
「やるべきことを楽しくできる、が何よりの幸せ。この働き方は一つの理想形だと思う。」
――小暮真久 氏 TABLE FOR TWO 代表理事/『「20円」で世界をつなぐ仕事』著者

平均なんていらない

 これまで連載を読まれた方は、僕らがちょっと変わったヤツらであり、変わったことをやっているからそういう働き方ができるんだ、と思うかもしれない。だけれど、僕らの仕事は実際のところ、国内で数万社もあると言われる不動産屋そのものであって、それほど変わった仕事ではない。僕らのやり方や組織のあり方は、ごくごく一般的な仕事や会社に取り入れてもおもしろい結果を生む部分が多々あると思う。

 第4回は、僕らの「ビジネス」の仕方や戦略についてご紹介しようと思うが、これらもきっと、これからの時代の多くの仕事に当てはまるはずだ。

 僕らの組織は基本的に個人主義的だけど、僕らのビジネス自体も基本的に個人主義だ。それは簡単に言えば、「みんなが求めるもの」を考えて探し当てるのでなく、僕らがいいと思うものを伝える、僕ら自身が望むことをきっかけに社会との接点を見つける、というスタンスのことだ。

 もちろんメンバーはそれぞれ、感覚や判断基準もある程度違うから、統一的な僕らの価値基準はきれいに言葉にはできないし、あえて言語化はしていないのだけれど、「半歩先をいくライフスタイル」といった意味不明な言葉にするよりは正しい方向に進んでいると思っている。

 いやむしろ、自分たちがわかっていることをやる限り、無理に言葉にする必要がないということでもあり、さらにいえば、無理に言葉にすることで本質からズレてしまうことを懸念しているといってもいい。価値観を共有できるチームでやっている限り、そしてその人選を間違わない限りはそんなフレーズは必要ない。

 「東京R不動産」の物件紹介では、個人が記名して、それぞれが主観で文章を書いている。「できれば僕が住みたい大好きな物件」とか、「水回りがこれだけ古いと相当な気合がなければ住めません」といった紹介文も、それが本音である限りはアリだ。見ているお客さんも、だんだんそのパーソナリティを理解していき、自分に合う東京R不動産の担当者はこの人だなとわかってくるらしい。そして、担当者とお客さんという共感しあえた二人の個人が現実に出会ったとき、担当者の思いはお客さん個人の思いと重なって、そこにグルーブが生まれる。

 あるメンバーが見つけていいなと思い、思いを込めて紹介した物件に共感したお客さんがやって来たとき、そのメンバーが出ていって、出会う。会社のミッションでなく、フリーエージェントとして個人の意思で動いている個人が登場する。この流れが大事なのだ。

 個人のリアルなニーズや思いをベースにした仕事は、ブレにくい。それが特殊なものであってもいいし、世の中に幅広く受け入れられるものでも、もちろん素晴らしい。いずれにしても、「平均」を割り出すということが僕らは嫌なのだ。