ロマンに満ちた恐竜。誰しも一度は人類の進化に思いを馳せることがあるのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、恐竜絶滅とほ乳類の進化に迫った『恐竜絶滅――ほ乳類の戦い』です。

世界中を取材して追った
恐竜絶滅の過程とほ乳類の進化

恐竜絶滅のスイッチは1億年前に押されていた!?<br />生物の壮絶な進化を辿る知的興奮の書NHK「ポスト恐竜」プロジェクト:編著『恐竜絶滅――ほ乳類の戦い』 2010年7月刊。装丁も中面も迫力のあるCGが満載です。

 かの大ヒット作。スティーヴン・スピルバーグの「ジュラシックパーク」が公開されたのは1993年で、もう20年以上も前のことになります。いても立ってもいられず、まだ幼かった娘たちと一緒に、映画館に駆け付けたことを思い出します。下の娘は大人になったいまも、恐竜ファンです。

「恐竜」という言葉ほど、胸が躍るものは他にあまりありません。あの巨大な生物が、この地球に存在していたと思うだけで、我々の想像力をひどくかき立てます。『恐竜絶滅――ほ乳類の戦い』と題されたこの本は、2010年の夏に「NHKスペシャル」として放送されたものを書籍化したものですが、取材地は南米・北米・欧州・中国・モンゴルと世界中に及び、NHKならではと思わせます(同じメディア業界で働く人間としてはうらやましい)。

 本書の特徴は、そのサブタイトルに示されているように、恐竜だけでなく我々の祖先であるほ乳類の進化にスポットを当てていること、何億年という時の流れの中で、宇宙で起こった偶然の出来事や地球上の生命体同士が互いに絡み合い、影響しあいながら、進化の歴史を刻んできたことを教えてくれることです。