ハーバード大学卒業後、マッキンゼー、BIS、OECDなどを経て、現在は京都大学の教壇に立つ河合江理子氏と、ボストン・コンサルティング・グループ、ゴールドマンサックス証券を経て、スター・マイカ代表取締役会長を務める水永政志氏による対談。日本、そして世界を知る両氏から、これからの時代に求められる人材像などが語られた。今回が最終回。

日本人はケーススタディが苦手

河合 水永さんは、アメリカのMBAに行って、日本の学生とアメリカの学生を見ているわけですが、日本人が優れているところ、アメリカ人の優れているところ、反対に、日本人やアメリカ人が苦手なところはありますか?

水永 そうですね。ケーススタディはいまだに日本ではまったくダメみたいですね。ダメというのは、学生がちゃんと反応してくれないということです。

河合 たとえば、グループワークにして、答えを出して発表するといったらどうですか?

水永 それならできるでしょうね。

河合 ケーススタディに批判的な人もいますが、私はとても勉強になると思っています。

水永 そうですね。私もそちらの意見です。

河合 所詮は教室の中の議論だ、答えが決まっているという批判的な声もありますね。

水永 いやいや、やったほうがいいと思います。ただし、先生のスキルも実は重要ですね。そういう意味では、アメリカの先生はファシリテートする能力も各自が持っていると思いました。また、ファシリテーターをやったことがあるのでグッドリスナーにもなれるということもあります。もちろんできない人もいますけど、すごいなと思うときはありました。学生でグループワークをしていても、「じゃあ、俺がファシリテーターをする」という人がいますよね。

河合 INSEADでおもしろかったのは、イギリスのネイビー(海軍)出身の人。凄いリーダーシップがありました。

水永 彼らはあります。ウエストポイント(アメリカ合衆国陸軍士官学校)もそうでした。鍛えられていると思いますよ。ついて来るか、それとも死ぬか、どちらか選べという世界ですから、迫力が違いました。一緒にいても「You have two choices.」って迫られていました(笑)。

 日本にはそういうものは欠けていますよね。画一化して、標準的にシャイな人ばっかりだと感じます。私たちのときもそうでしたけど、いまだに文化が変わっていないからこそ、いまの大学生の状況があると思います。