曖昧な態度では議論で埋没する!<br />発言は「私は」で始めてみようダイバーシティな組織で活躍できる人材とは?
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 ダイバーシティとは、多様な人が存在する組織というだけではなく、働き手1人ひとりが自らの貢献度を高め、チームとしての総合得点を高くするためのものだと書いてきた。大切なことは、各自が自らの存在意義を高め、自分の視点をチームに提供し、議論し、チームとしてよりよい結論を導き出すことだ。今までのように、会議中は波風たてず静かに座っているとか、自分の意見を言うなんてもってのほかと黙っているのでは、貢献していない、ということになってくる。また一方で、何にでも反対したり、批評したり、抵抗するということも、ダイバーシティの目的から大きく外れる。

 では、ダイバーシティな組織で貢献できる人材とは一体どういう人か。また、どんな思考スキル、発言スキルがこのような組織では役立つのだろうか。さらに、そうした人材はどのように育てるのだろうか。

自分を主語にする「私の宣言文」で
提案を議論のテーブルに載せる

 私は、その訓練の一つにもなるだろうと思う発言ルールをつくり、 I statement(アイステートメント)と呼んでいる。I statement(アイステートメント)とは、自分を主語にして、自分のことだけを述べる「私の宣言文」だ。日本語は、主語を語らずに会話することが多いが、まず主語をしっかり入れてみる。そして、自分の考えに限定して述べる。

 各自が自らの意見や視点を具体的に述べることができると、議論の際、テーブルの上に複数の視点が載ることになる。根拠のない発言をするのではなく、他人を批判することもなく、自らの考えや体験を短く具体的に述べることができたら、多様な視点を議論する環境が整うということだ。

 たとえば、「何色がいいですか?」と聞かれた時、「私は、赤が好きです」と答えることができれば I statement(アイステートメント)ということになる。私が主語になり、何が好きかを述べている。他人の話もしていないし、噂も話していない。回答することで、一つの事例として、事実を伝える=貢献していることになる。