少し前に、いわゆるヘッドハンターと呼ばれる方々を対象とする表彰イベントがあり、その最終審査員を担当する機会をいただきました。最終審査に残った彼ら、彼女らがよく口にした言葉に、「介在価値」という言葉がありました。

「介在価値」とは、本来であれば当事者同士で直接行うことが可能なところに、第三者があえて入ることによって、何らかのプラスの価値を提供する、という意味でしょう。

では、私たち人事の「介在価値」とは。特に採用における介在価値とは、何なのでしょうか。

現場にはマネできない
人事の介在価値

 特に採用業務での「介在価値」――。

 それは、一言でいえば、現場が直接やるよりも、品質・コスト・スピードのすべての面においてよい採用ができること、そして現場が思ってもいないような凄い!採用ができることでしょう。

 これは特に中途採用において、顕著にいえることです。

 しかし、採用数が多くなってくると、どうしても採用業務自体がルーティン化してくる面は否めず、ついついオーダーを右から左に流すといった対応に終始してしまったり、書類選考や面接に忙殺されて仕事に流されてしまったり、ということが起こりがちです。

 それで仕事をしたつもりになってしまうのが、一番の問題です。これは、介在価値が劣化している状態、といえるでしょう。

 この劣化を防ぐためには、日々の振り返りと点検を行うことが重要です。

介在価値
2つの本質

 ここで少し、この「介在価値」の本質を見てみましょう。次の2つです。

①効率性
 1つめはとても基本的な価値ですが、効率性。

 これは、膨大な情報の海の中で、その道の素人が必要な情報にたどり着くことが非常に難しく、時間のかかる仕事になってしまっていることによって発生しています。人材紹介会社や人材派遣会社に依頼する時を考えると、よくわかるでしょう。

 ただし、このソリューションは高度な検索機能などのITの力によって、ある程度はカバーできます。人が「介在」しなくても実現しうるのです。
よって、この「介在価値」だけに頼っていては、いずれ無用の長物になるリスクがあります。

②潜在ニーズを表面化させる
 もう1つは、より本質的な価値です。

 例えば、人事部が、現場が認識できていないような採用ニーズを表面化させる、といったことです。

 営業担当が次々と退職してしまうため毎月多くの採用発注をする部署に対して、営業担当希望者の人選を次から次にするだけでなく、経験の浅い担当者を教えることができる中堅営業担当のアサインを提案したり、業務プロセス設計ができる人材、商品開発に強い人材、マーケティングにたけた人材を紹介するといったように、問題の本質を捉えて、本当に必要な人材を一緒に考えるような価値です。

 情報量が膨大になることにより、逆に真に必要な情報が何かが見極めにくくなった今の時代では、こうした「介在価値」は重要な価値になってきています。

 最近、多く見られるいわゆるキュレーション・サイト※も、ネットの世界に散らばる情報を効率的に把握するという「介在価値」を発揮できているからこそ、支持されてきています。
※例:はてなブックマークやNaverまとめ、Gunosyなど。