臨時国会は、12月4日に閉会した。

 しかし、残念なことに、党首討論も経済・外交の集中審議も次の国会に先送りとなった。

 私は党首討論と集中審議の要求は、自民党の党利党略だけとは思わない。なぜなら最も強くそれを願っているのは他ならず民主党政権を支持し期待している人たちだと思うからだ。

 自民党も民主党も党首が代った。鳩山由紀夫首相と谷垣禎一総裁の党首討論は、ほとんどの人が1日も早く実現してほしいと強く望んでいたものだ。どちらに軍配が上るかはともかく、新鮮な両党首が初めて白熱した議論を闘わせる場面を待っていた人は多い。

 経済・外交の集中審議も、今やらなければ意味がない。“デフレ宣言”下の経済、普天間問題で苦悩する外交。鳩山政権にとってはまたとないビジョンを披露する機会であったはず。また、首相のいわゆる“故人献金”問題についても国民・有権者にじっくり説明することが可能であった。野党や国民から逃げていると誤解されたら、政権運営にとって大きなマイナスとなる。

「年間2億円の外交誌買取」でわかった
外務省の薄いコスト意識

 さて、「事業仕分け」も店仕舞いとなったが、斬新な方法による仕分け作業を評価するにやぶさかではない。

 「仕分け作業」を注視してきた一般の人たちは、予算編成に伴う非常識さにさぞ驚いたことだろう。実際私の耳にもそんな声がいくつも届いた。

 終盤になって、官庁の非常識ばかりでなく学者の非常識も明るみに出てきた。私も開いた口がふさがらなかった。

 12月2日、外務省の事業仕分けで、国際情報誌の買い取りのための予算が廃止の判定を受けた。

 外務省は、民間出版社が発行する「外交フォーラム」などの雑誌を、年間約2億円の予算を使って買い取り、それを「有識者」に配布してきた。重要な情報誌なら、必要な人は高くても自分で買うはずだ。なぜそんなことをしてきたのか。そこに「外務省の何らかの権益が潜んでいた」と疑わざるを得ない。